シェパードの寿命と病気の基礎ガイド|健やかな毎日を守る見守り習慣

リビングで気持ちよさそうに眠るシェパードの、大きくて温かい背中。

その寝息を聞いていると、自然と笑顔になりますよね。

でも同時に、ふとこんなことを考えたことはありませんか?

「この子ともっと長く、元気に一緒にいたい」って。

シェパードを家族に迎えた日から、私たちはずっと「この子の幸せ」を一番に考えてきました。

だからこそ、寿命や健康について知りたくなるのは、とても自然なことなんです。

大好きな家族を、一日でも長く守りたいから。

実は「寿命」や「病気」について知ることは、不安を増やすためのものではありません。

むしろ逆なんです。

日々の暮らしの中で「ちょっとした変化」に気づけるようになったり。

「あ、これは気をつけてあげよう」って、さりげなくケアできるようになったり。

知識は、愛犬との時間をもっと安心して、もっと濃く楽しむための「お守り」になってくれます。

今日という一日を、笑顔で大切に過ごすために。

シェパードの寿命や健康について、一緒に見ていきましょう。

シェパードを飼う前に知っておきたい基本|歴史と身体の特徴

シェパードの寿命や病気について理解を深めるには、まず「この犬種がどんな歴史を歩んできたのか」を知ることが大切です。

というのも、シェパードの体の特徴や性格は、100年以上前から受け継がれてきた「使命」と深く結びついているからなんです。

警察犬や軍用犬として活躍する、凛々しくてたくましいイメージ。

テレビドラマや映画で見た、頼もしい姿を思い浮かべる方も多いですよね。

でも実は、家の中で見せる顔は全然違います。

飼い主さんのそばにぴったりくっついて甘えたり、膝に顎を乗せてじっとこちらを見つめてきたり。

その「ギャップ」こそが、シェパードと暮らす最大の魅力なんです。

ただ、忘れてはいけないのが「体の大きさ」。

成犬のオスなら体重30〜40kgにもなる、堂々とした体格です。

この大きな体を健康に保つためには、どんな歴史的背景があって、どんな性格の持ち主で、どんな体の特徴があるのかを知っておくことが、日々のケアにつながっていきます。

まずは、シェパードという犬種の「ルーツ」から、一緒に見ていきましょう。

万能作業犬が歩んできた歴史|知性と体力のルーツ

シェパードという犬種が誕生したのは、19世紀末のドイツです。

生みの親は、マックス・フォン・シュテファニッツ大尉という軍人でした。

彼が目指したのは、「どんな仕事もこなせる、万能の作業犬」を作り出すこと。

牧羊犬としての優れた能力はもちろん、護衛、追跡、救助など、あらゆる場面で活躍できる犬を理想としたんです。

項目内容
誕生の地19世紀末のドイツ
生みの親マックス・フォン・シュテファニッツ大尉
育種の目的知性・体力・忠誠心を兼ね備えた万能作業犬
求められた能力牧羊、護衛、追跡、救助など多用途
日本への導入1932年、帝国軍用犬協会により本格導入

その理想は見事に実を結び、シェパードは瞬く間に世界中で認められる犬種になりました。

日本では1932年、帝国軍用犬協会(現在の日本警察犬協会の前身)によって本格的に導入されます。

当時は「S犬」と呼ばれ、軍用犬として重要な役割を担っていました。

戦後は軍用から警察犬へと活躍の場を移し、1965年頃からは嘱託警察犬制度が全国的に広がります。

これによって、一般家庭で育てられたシェパードが、警察の仕事を手伝うという新しいスタイルが確立されました。

つまり、今おうちにいるシェパードの祖先は、「人のために働くこと」を誇りとしてきた犬たちなんです。

だからこそ、飼い主さんと一緒に何かをする時間(散歩、遊び、トレーニング)が、彼らにとっては最高の幸せになります。

この「働きたい」という気持ちを満たしてあげることが、心の健康を守ることにもつながっていくんですね。

名前とメディア作品から見るシェパードのパブリックイメージ

「ジャーマン・シェパード・ドッグ」という名前には、実は深い意味が込められています。

「シェパード(Shepherd)」は英語で「羊飼い」という意味。

つまり、この犬種の原点が「羊の群れを守り、導く牧羊犬」だったことを、名前そのものが物語っているんです。

でも、多くの人がシェパードに抱くイメージは、羊飼いよりも「正義の味方」「頼れる相棒」ではないでしょうか?

作品ジャンル代表作品・キャラクターシェパードの役割イメージ
映画『名犬リンチンチン』『K-9』勇敢な救助犬、刑事の相棒
ドラマ『刑事犬カール』『REX』犯人を追う名探偵犬
アニメ『銀牙』シリーズのジョン誇り高き戦士、忠実な仲間
ゲーム『Fallout 4』ドッグミート終末世界の唯一の友

このイメージを作り上げたのが、数々の映画やドラマ、アニメでの活躍です。

1954年放送の『名犬リンチンチン』では、少年と心を通わせる頼もしい相棒として。

日本では1977年の『刑事犬カール』が大ヒットし、賢くて優しい警察犬のイメージが定着しました。

さらに近年では、『アイ・アム・レジェンド』で主人公の孤独を支える家族として描かれるなど、知性と献身の象徴として愛され続けています。

こうしたメディアでの姿は、決して誇張ではありません。

実際のシェパードも、飼い主さんの感情を読み取る力が高く、何かあれば真っ先に駆けつけてくれる頼もしさを持っています。

ただし、映画のような絆は一朝一夕には生まれないもの。

日々の信頼関係の積み重ねが、あの「相棒」としての姿を作り上げていきます。

屈強な外見に秘めたシェパードの甘えん坊な性格とパワフルな体格

警察犬や軍用犬として活躍する姿からは、厳格で近寄りがたい印象を受けるかもしれません。

でも、実際に一緒に暮らしてみると、そのイメージは大きく変わります。

家の中では、飼い主さんのそばにぴったりくっついて離れない。

膝に顎を乗せてじっと見つめてきたり、撫でてほしくて鼻先でツンツンしてきたり。

外での凛々しい姿とは裏腹に、甘えん坊な一面を持っているのがシェパードの魅力なんです。

項目内容
基本的な性格温厚・従順・警戒心が強い
家族への態度甘えん坊・依存度が高い
好奇心旺盛で活発、常に何かに興味を持つ
体格(オス)体重30〜40kg、体高60〜65cm
体格(メス)体重22〜32kg、体高55〜60cm

ただし、忘れてはいけないのが体の大きさです。

成犬のオスなら体重30〜40kg、メスでも22〜32kgという、かなりのパワーを持った体格になります。

これだけの体重が全力で飛びついてきたり、散歩中に急に引っ張ったりすれば、飼い主さんが転んでしまうことも。

甘えん坊な性格だからこそ、体のコントロールを小さい頃から教えてあげることが大切になります。

それは「厳しくしつける」ということではなく、「お互いに安全で心地よく暮らすためのマナーを一緒に覚える」ということ。

シェパードは賢い犬種なので、飼い主さんが根気よく教えれば、きちんと応えてくれます。

大きな体と優しい心を持つシェパードだからこそ、その両方を理解してあげることが、健康で幸せな暮らしの第一歩になります。

シェパードの寿命|健康の目安と年齢の捉え方

シェパードの歴史や性格を知ったところで、多くの飼い主さんが気になるのが「寿命」のことではないでしょうか。

「大型犬は寿命が短い」という話を耳にして、不安を感じたことがあるかもしれません。

でも、ここで大切にしたいのは、数字だけに縛られない考え方なんです。

確かに、シェパードの平均寿命は10〜13歳前後とされています。

小型犬に比べると短く感じるかもしれませんが、これは決して「あきらめなければいけない数字」ではありません。

むしろ、「今この瞬間を、どれだけ丁寧に、どれだけ愛情深く過ごせるか」を教えてくれる、大切な目安なんです。

人間の時間軸で考えると、シェパードの1年は私たちの7〜8年分にも相当します。

つまり、彼らは私たちよりもずっと速いスピードで、人生を駆け抜けていく。

だからこそ、一日一日の積み重ねが、かけがえのない宝物になっていきます。

この章では、シェパードの年齢を人間に換算するとどれくらいなのか、平均寿命はどのくらいなのか、そして寿命に影響を与える要因について見ていきます。

知識を持つことで、愛犬の「今」をもっと深く理解できるようになりますよ。

シェパードの人間年齢換算|成長のスピードをイメージする

愛犬が今何歳なのか、人間に例えるとどれくらいなのか。

そんなふうに考えたことはありませんか?

シェパードの年齢を人間の年齢に換算してみると、彼らがどれだけ速いスピードで成長しているかが実感できます。

生まれてからの1年間は、驚くほどのスピードで体も心も成長します。

1歳の時点で、すでに人間の18歳相当になっているんです。

シェパードの年齢人間年齢に換算
1歳約18歳
2歳約26歳
3歳約34歳
5歳約50歳
7歳約66歳
10歳約87歳
13歳約108歳

その後は、1年ごとに人間でいう7〜8歳ずつ年を取っていく計算になります。

つまり、飼い主さんの1年と、シェパードの1年では、時間の重みがまったく違うということ。

だからこそ、「今日一緒に過ごせること」が、どれだけ貴重な時間なのかを教えてくれます。

7歳を過ぎると、人間でいえば60代後半。

体力や見た目に変化が出始める頃ですが、これは決して「衰え」だけを意味するものではありません。

若い頃の激しい遊びから、ゆったりとした散歩や、静かに寄り添う時間へ。

年齢に応じた新しい幸せの形が、そこにはあります。

年齢換算を知ることで、今の愛犬がどんなライフステージにいるのかを理解でき、それぞれの時期に合ったケアを考えるきっかけになります。

シェパードの平均寿命の目安|大型犬としての傾向

一般的に、シェパードの平均寿命は10〜13歳前後とされています。

小型犬の平均寿命が15歳前後であることを考えると、少し短く感じるかもしれません。

でも、これは大型犬全般に共通する傾向なんです。

項目内容
シェパードの平均寿命10〜13歳前後
小型犬の平均寿命15歳前後
大型犬の特徴体が大きい分、心臓や関節への負担が大きい
寿命に影響する要因遺伝、食事、運動、ストレス管理
健康寿命を延ばすポイント定期的な健康診断と日々の観察

体が大きいということは、それだけ心臓や関節に負担がかかるということ。

30〜40kgという体重を支え続ける足腰、全身に血液を送り続ける心臓は、小型犬に比べて常に大きな仕事をしています。

だからこそ、大型犬の寿命は小型犬よりも短い傾向にあるんです。

ただし、これはあくまで「平均」の数字。

適切な食事管理、無理のない運動、ストレスの少ない環境を整えることで、平均を超えて長生きするシェパードもたくさんいます。

実際、15歳を超えて元気に過ごしている子の話も珍しくありません。

大切なのは、数字に一喜一憂することではなく、愛犬が今どんな状態なのかを日々観察すること。

小さな変化に気づいてあげることが、健康寿命を延ばす第一歩になります。

寿命の長さだけでなく、その時間をどれだけ幸せに過ごせたかという「質」も、同じくらい大切にしていきたいですよね。

シェパードの寿命に影響を与える要因|遺伝と生活環境のバランス

「うちの子に、少しでも長く元気でいてほしい」

そう願うのは、どの飼い主さんも同じですよね。

シェパードの寿命は、遺伝的な要素日々の生活環境、この2つのバランスで決まってきます。

遺伝については、私たちがコントロールできる部分は限られています。

でも、生活環境については、飼い主さんの工夫次第で大きく変えることができるんです。

要因内容
遺伝的要因股関節形成不全、心臓病などの家系的な体質
食事管理適切な体重維持、高タンパク・低脂肪のバランス
運動習慣関節に負担をかけすぎない適度な運動
ストレス管理留守番時間の調整、安心できる居場所づくり
定期健診年1〜2回の健康診断で早期発見

まず大切なのが食事管理です。

シェパードは食欲旺盛な子が多く、肥満は関節や心臓への負担を大きくします。

適正体重を保つことが、健康寿命を延ばす基本になります。

次に運動

激しいジャンプや急な方向転換を繰り返すと、股関節や膝を痛める原因になることも。

散歩の「量」よりも、飼い主さんと一緒に歩く「質」を大切にしてあげましょう。

そしてストレス管理

甘えん坊なシェパードにとって、長時間の留守番は心の負担になります。

安心して待てる居場所づくりも、心の健康を守る大切なケアです。

最後に、定期的な健康診断

年に1〜2回、動物病院でチェックを受けることで、病気の芽を早めに見つけることができます。

遺伝的な体質は変えられなくても、日々の積み重ねで愛犬の健康を支えることは、私たちにできることなんです。

年齢別のお世話ポイント|寿命と向き合い変化に寄り添う

寿命や年齢について知ったところで、次に気になるのが「じゃあ、実際にどうお世話すればいいの?」ということではないでしょうか。

シェパードは成長のスピードが速い分、年齢によって必要なケアが大きく変わってきます。

子犬の頃は、骨や関節がまだ未発達。

激しすぎる運動は将来の関節トラブルにつながることもあるため、遊び方にも気を配る必要があります。

成犬期に入ると、体力も充実し、一番パワフルな時期。

この時期にしっかり体を動かし、心も満たしてあげることが、シニア期の健康につながっていきます。

そして7歳を過ぎてシニア期に入ると、少しずつ体の変化が見え始めます。

段差の上り下りを嫌がるようになったり、寝ている時間が増えたり。

でも、これは決してネガティブな変化ではありません。

年齢に合わせた「新しい幸せの形」を一緒に見つけていく時期なんです。

この章では、子犬期から成犬期、そしてシニア期まで、それぞれのライフステージで大切にしたいお世話のポイントを見ていきます。

どの時期にも、その時だけの愛おしさがあります。

年齢ごとの変化を理解することで、愛犬との時間をもっと安心して、もっと楽しく過ごせるようになりますよ。

シニア期のシェパードの暮らし方|変化に寄り添う環境の整え方

7歳を過ぎると、シェパードは少しずつシニア期に入っていきます。

若い頃のように全力で走り回ることは減り、ゆったりとした時間を好むようになってきます。

でも、これは決して「衰え」ではなく、新しいライフステージへの移行なんです。

白髪が混じり始めた顔、少しゆっくりになった足取り。

その一つひとつが、一緒に歳を重ねてきた証であり、愛おしさが増す瞬間でもあります。

項目内容
床の工夫滑り止めマットやカーペットで関節を守る
段差対策スロープや踏み台で負担を軽減
寝床の見直し低反発マットなど体圧分散できる素材に
食事の調整消化しやすく高タンパク・低カロリーに
健康診断年2回に増やして早期発見を心がける

まず大切なのが環境の見直し

30kg以上の体重を支える足腰は、年齢とともに負担が大きくなります。

フローリングで滑らないよう滑り止めマットを敷いたり、ソファや車への乗り降りにスロープを用意したり。

ちょっとした工夫が、関節への負担を和らげてくれます。

次に食事

運動量が減ると、同じ量を食べていても太りやすくなります。

肥満は関節や心臓への負担を増やすため、シニア用のフードに切り替えて、カロリーを調整してあげましょう。

そして、忘れてはいけないのが定期的な健康診断

シニア期は病気のリスクが高まる時期でもあります。

半年に1回は動物病院でチェックを受けることで、小さな変化にも早めに気づくことができます。

散歩の距離が短くなっても、一緒に歩く時間はかけがえのないもの。

ゆっくりとした歩調に合わせて、のんびり景色を眺めながら歩く。

そんな穏やかな時間が、シニア期ならではの幸せなんです。

シェパードの身体と心を支える毎日の運動|量より質を重視する工夫

「大型犬だから、たくさん運動させなきゃ」

そう思って、毎日長時間の散歩を頑張っている飼い主さんも多いのではないでしょうか。

でも、シェパードにとって大切なのは、運動の「量」よりも「質」なんです。

もともと作業犬として育てられてきたシェパードは、ただ歩くだけでは物足りなさを感じることがあります。

彼らが本当に求めているのは、体を動かすことと同時に、頭を使う「仕事」

項目内容
散歩の目安1日2回、各30分〜1時間程度
質を高める工夫「待て」「ついて」などコマンドを織り交ぜる
避けたい運動激しいジャンプ、急な方向転換、長時間の疾走
おすすめの遊びノーズワーク、宝探し、かくれんぼ
シニア期の調整距離を短く、ゆっくりペースで負担軽減

散歩中に「座れ」「待て」「ついて」といった指示を出してあげるだけで、シェパードは「飼い主さんの役に立っている」と感じ、心が満たされます。

これが、ただ歩くだけの散歩との大きな違いなんです。

また、家の中でも頭を使う遊びを取り入れてあげましょう。

おやつを隠して探させる宝探しや、飼い主さんが隠れて呼ぶかくれんぼなど。

嗅覚や聴覚を使う遊びは、体力を使わずに精神的な満足感を与えてくれます。

逆に、避けたいのが関節に負担がかかる激しい運動

フリスビーの高いジャンプや、急な方向転換を繰り返すドッグランでの全力疾走は、股関節や膝を痛める原因になることも。

特に成長期とシニア期は、無理をさせないよう注意が必要です。

運動は、愛犬の体と心の両方を健康に保つための大切な時間。

「今日もたくさん歩いた」ではなく、「今日も一緒に楽しく過ごせた」と思える散歩が、一番の理想です。

シェパードがかかりやすい病気5選|早期発見のサイン

ここまで、シェパードの寿命や年齢別のお世話について見てきました。

でも、どれだけ丁寧にケアをしていても、病気のリスクをゼロにすることはできません。

大切なのは、「病気を恐れること」ではなく「病気のサインに気づいてあげること」なんです。

シェパードには、犬種特有のかかりやすい病気がいくつかあります。

股関節の問題、胃捻転、神経の病気など、聞くだけで不安になってしまう名前が並びます。

でも、これらの病気は、早めに気づいて対処すれば、愛犬との時間を守ることができるものばかり。

「知ること」は、愛犬を守る最初の一歩なんです。

この章では、シェパードに特に多い5つの病気について、それぞれ詳しく見ていきます。

どんな症状が出るのか、日常の中でどんなサインに気をつければいいのか、そして、もし病気が見つかったらどう向き合っていけばいいのか。

飼い主さんが「気づく力」を持つことが、愛犬の健康を守る最強の武器になります。

病気の名前や症状を知っておくことで、「あれ? いつもと違うかも」という小さな違和感に気づけるようになります。

その「気づき」が、愛犬の命を救うこともあるんです。

不安になるためではなく、大切な家族を守るために。

一緒に、シェパードの健康について学んでいきましょう。

股関節形成不全|シェパードに多い足腰のトラブル

シェパードに最も多い病気の一つが、股関節形成不全です。

30〜40kgという大きな体を支える股関節に、生まれつきの形成不全があると、年齢とともに痛みや歩行困難が出てきます。

遺伝的な要素が大きいものの、成長期の過ごし方や体重管理で、症状の進行を遅らせることができる病気でもあります。


股関節形成不全の主な症状

症状具体的な様子
歩き方の変化腰を左右に振る「モンローウォーク」
立ち上がりの困難座った状態から立つのに時間がかかる
運動の回避散歩を嫌がる、走りたがらない
後ろ足の異常両足を揃えて「ウサギ跳び」のように歩く

股関節形成不全の代表的な症状は、腰を振るような歩き方です。

まるでモデルが歩くように、左右に腰を揺らしながら歩く姿から「モンローウォーク」と呼ばれています。

また、座った状態から立ち上がる時に「よいしょ」と時間がかかったり、散歩に行きたがらなくなったりすることも。

後ろ足に力が入りにくいため、両足を揃えてぴょんぴょん跳ねるように歩く子もいます。


日常で気づくサインと原因

項目内容
気づきのサイン階段や段差を嫌がる、座り方が横座り
主な原因遺伝的素因、成長期の急激な体重増加
悪化させる要因肥満、滑りやすい床、激しい運動

日常生活では、階段や段差を避けるようになるのが分かりやすいサインです。

また、座る時に横座り(片方の足を横に投げ出す)をすることが増えます。

原因は主に遺伝ですが、子犬の頃に太りすぎたり、フローリングで滑って転んだりすることで、症状が悪化することもあります。


治療と管理の基本

治療方法内容
保存療法体重管理、鎮痛剤、サプリメント
外科手術人工関節置換術、骨盤三点骨切り術
リハビリ水中歩行、マッサージで筋力維持

軽度の場合は、体重管理と鎮痛剤で痛みをコントロールします。

適正体重を保つことが、関節への負担を減らす最も効果的な方法です。

重度の場合は、人工関節に置き換える手術という選択肢もあります。

動物病院でレントゲン検査を受け、獣医師と相談しながら最適な治療法を選びましょう。


関節を守るための生活の工夫

工夫具体的な方法
床の対策滑り止めマット、カーペットを敷く
体重管理肋骨が触れる程度の体型を維持
運動の調整ジャンプ禁止、平坦な道での散歩
サプリメントグルコサミン、コンドロイチンの活用

股関節を守るには、まず床を滑りにくくすること

フローリングに滑り止めマットを敷くだけで、関節への負担がぐっと減ります。

そして、成長期から肥満にさせないことが予防の基本です。

「可愛いから」とおやつをあげすぎず、適正体重をキープしてあげることが、一番の愛情になります。

胃拡張・胃捻転症候群|シェパードに多い命に関わる緊急疾患

シェパードのような胸が深い大型犬に特に多いのが、胃拡張・胃捻転症候群です。

胃がガスで膨らみ、ねじれてしまうことで血流が止まり、数時間で命を落とすこともある緊急疾患。

「さっきまで元気だったのに」という突然の発症が特徴で、一刻を争う状況になります。


胃捻転の恐ろしい症状

症状具体的な様子
お腹の膨らみ風船のようにパンパンに膨れる
吐こうとするが吐けない何度もえずくが何も出ない
落ち着きのなさじっとしていられず、うろうろする
呼吸困難苦しそうに浅く速い呼吸
ぐったりする急速に元気がなくなり、倒れる

最も分かりやすいサインは、お腹が異常に膨らむこと

触ると太鼓のように張っていて、いつもと明らかに違います。

そして、吐きたそうにえずくのに、何も出てこない。

この「吐けない嘔吐」が見られたら、すぐに動物病院へ連絡してください。

時間が経つと、ぐったりして立てなくなり、ショック状態に陥ります。


疑うべきサインと原因

項目内容
発症しやすい状況食後すぐの運動、早食い、ドカ食い
体の特徴胸が深い大型犬種に多発
危険な時間帯夕食後の散歩、夜間に多い
ストレス興奮や緊張状態も要因になる

胃捻転が起きやすいのは、食後すぐに激しく動いた時

満腹の胃が体の中で揺れることで、ねじれやすくなります。

また、一度に大量の水を飲んだり、がつがつと早食いをしたりすることも原因になります。

シェパードは食欲旺盛な子が多いため、特に注意が必要です。


救急対応と治療の流れ

対応内容
緊急連絡症状が出たら即座に動物病院へ電話
移動時の注意なるべく体を揺らさないように運ぶ
病院での処置胃のガス抜き、緊急手術でねじれを戻す
術後管理再発防止のため胃を固定する手術も

胃捻転は、一刻を争う緊急事態です。

「様子を見よう」は命取りになります。

少しでも疑わしい症状があれば、夜間でもすぐに病院へ連絡しましょう。

治療は、まず胃にたまったガスを抜き、ねじれを戻す緊急手術を行います。

再発予防のため、胃を腹壁に固定する手術を同時に行うこともあります。


予防のための食事習慣

工夫具体的な方法
食事回数1日2〜3回に分けて少量ずつ
早食い防止早食い防止食器を使用
食後の安静食後1〜2時間は安静に過ごす
台付き食器首を下げすぎない高さに設置
水の与え方一度に大量ではなく、こまめに

予防で最も大切なのは、食後すぐに運動させないこと

散歩は食事の前か、食後2時間以上経ってからにしましょう。

また、早食い防止の食器を使うことで、がつがつ食べるのを防げます。

台付きの食器を使って、首を極端に下げずに食べられるようにするのも効果的です。

胃捻転は、知識があれば防げる病気でもあります。

変性性脊髄症(DM)|シェパードに好発する神経疾患

シェパードに特に多いとされるのが、変性性脊髄症(DM: Degenerative Myelopathy)です。

脊髄の神経が徐々に変性していく遺伝性の病気で、後ろ足から麻痺が進行していきます。

大きな特徴は、痛みを伴わないこと。

そのため、飼い主さんが気づいた時には、すでに進行していることも少なくありません。


変性性脊髄症の主な症状

症状具体的な様子
後ろ足のふらつき歩く時に足がもつれる
爪の擦れ足を引きずり、爪が削れて音がする
立ち上がりの困難後ろ足に力が入らない
尾の垂れ下がり尻尾を上げられなくなる
進行後の症状最終的には前足や呼吸筋にも影響

初期症状で最も分かりやすいのは、歩く時の後ろ足のふらつきです。

まるで酔っぱらったように、足がもつれてよろける様子が見られます。

また、地面を引きずるように歩くため、爪が擦れて「カツカツ」という音がすることも。

痛みがないため、本人(犬)はあまり気にしていない様子で歩き続けるのが特徴です。


日常で気づくサインと進行

項目内容
初期のサイン片足を引きずる、足先がひっくり返る
中期の変化両足が麻痺し、自力で立てなくなる
末期の進行前足や呼吸筋にも麻痺が広がる
発症年齢8歳以降のシニア期に多い

DMは、ゆっくりと確実に進行します。

最初は片足を少し引きずる程度ですが、数ヶ月から1〜2年かけて、両後ろ足が動かなくなっていきます。

最終的には前足や呼吸に必要な筋肉にも影響が出ることがあります。

残念ながら、進行を止める治療法は現在のところ確立されていません。


治療とQOLの維持

対応内容
根本治療現在のところ有効な治療法なし
リハビリ筋力維持のための理学療法
補助具歩行補助ハーネス、車椅子の活用
栄養管理ビタミンE、サプリメントでサポート

DMには、残念ながら進行を止める治療法がありません

でも、だからといって何もできないわけではないんです。

リハビリや理学療法で筋力を維持し、できるだけ長く自力で歩けるようサポートできます。

歩行補助ハーネスや車椅子を使うことで、散歩を楽しむこともできます。


暮らしをサポートする環境づくり

工夫具体的な方法
床の対策滑り止めマットで転倒防止
寝床の見直し床ずれ防止マット、こまめな体位変換
排泄のサポートおむつ、清潔な寝床の維持
スキンシップマッサージで血行促進と心のケア

DMと診断されても、愛犬との時間を諦める必要はありません。

環境を整えることで、快適に過ごせる時間を延ばすことができます。

床を滑りにくくし、寝床には床ずれ防止のマットを敷いてあげましょう。

そして、毎日のマッサージやスキンシップで、心のケアも忘れずに。

体は不自由になっても、飼い主さんへの愛情は変わりません。

すい外分泌不全(EPI)|シェパードに多い消化吸収を妨げる遺伝疾患

シェパードに遺伝的に多いとされるのが、すい外分泌不全(EPI: Exocrine Pancreatic Insufficiency)です。

膵臓から分泌される消化酵素が不足することで、食べたものをうまく消化・吸収できなくなる病気。

「たくさん食べているのに痩せていく」という、飼い主さんが戸惑う症状が特徴です。

早めに気づいて治療を始めれば、生涯にわたって上手に付き合っていける病気でもあります。


EPIで見られる主な症状

症状具体的な様子
大量の軟便・下痢色が薄く、量が多い便
体重減少食欲はあるのにどんどん痩せる
毛艶の悪化パサパサでツヤがなくなる
異常な食欲常にお腹が空いている様子
食糞行動自分の便を食べることも

最も分かりやすい症状は、食欲があるのに痩せていくこと

どれだけ食べても、栄養が吸収されないため、体重が減り続けます。

便は大量で軟らかく、色が薄くて脂っぽい独特の匂いがすることも。

また、栄養不足から毛艶が悪くなり、パサパサした被毛になっていきます。


疑うべきサインと原因

項目内容
発症年齢若い成犬(1〜5歳)に多い
主な原因膵臓の消化酵素を作る細胞の萎縮
遺伝的素因シェパードに好発する遺伝性
見逃しやすい理由初期は食欲旺盛で元気に見える

EPIは、シェパードに遺伝的に多い病気です。

膵臓の細胞が徐々に萎縮し、消化酵素を作れなくなることが原因。

多くは若い成犬期(1〜5歳)に発症します。

初期は食欲があって元気なため、「たくさん食べるのに太らない子だな」と見過ごされがちです。


治療と食事療法の基本

治療方法内容
消化酵素剤毎食ごとに粉末タイプを混ぜる
食事療法高消化性の療法食に切り替え
ビタミン補給脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の補充
生涯の管理継続的な投薬と定期検査が必要

EPIの治療は、消化酵素剤を補うことが基本です。

毎食ごとに、粉末タイプの消化酵素をフードに混ぜて与えます。

これによって、食べたものを消化できるようになり、体重も安定してきます。

また、消化しやすい療法食に切り替えることで、膵臓への負担を減らすことができます。


長く付き合うための生活管理

工夫具体的な方法
食事の工夫少量を1日3〜4回に分ける
酵素剤の管理食事の直前に混ぜる(事前は×)
体重チェック週1回体重を測り記録
定期通院3〜6ヶ月ごとに血液検査
ストレス軽減安定した生活リズムを保つ

EPIは、生涯にわたって付き合っていく病気です。

でも、適切な管理をすれば、元気に長生きすることも十分可能なんです。

消化酵素剤をしっかり与え、体重の変化を見逃さないこと。

定期的に動物病院で検査を受けながら、愛犬のペースに合わせた暮らしを続けていきましょう。

「病気」ではなく「一緒に管理していく個性」と捉えることが、前向きに過ごす秘訣です。

分離不安|シェパードの甘えん坊な性格ゆえの心のトラブル

ここまで体の病気を見てきましたが、最後にお伝えしたいのが心の病気です。

シェパードは、凛々しい外見とは裏腹に、飼い主さんへの依存度が高い甘えん坊な犬種。

その愛情深さゆえに、一人で過ごす時間が苦痛になり、分離不安という状態に陥ることがあります。

「体は元気なのに、留守番になると暴れる」という悩みは、実は心のSOSかもしれません。


分離不安の主な症状

症状具体的な様子
破壊行動家具やドアを噛む、壁を引っ掻く
執拗な吠え飼い主が出かけると吠え続ける
不適切な排泄トイレ以外の場所で粗相をする
自傷行為足を舐め続ける、尻尾を噛む
過度な興奮帰宅時に落ち着かず飛びつく

分離不安の代表的な症状は、留守番中の破壊行動です。

ドアや家具を噛んだり、クッションを引き裂いたり。

これは「イタズラ」ではなく、飼い主さんがいない不安やストレスを発散しようとする行動なんです。

また、普段はできているトイレが、留守番の時だけできなくなることも。

帰宅時に異常なほど興奮して飛びついてくるのも、分離不安のサインです。


日常で気づくサイン

項目内容
外出準備への反応鍵を持つだけでソワソワする
後追い行動トイレやお風呂まで付いてくる
接触欲求常に体を密着させたがる
留守番後の様子よだれまみれ、息が荒い

分離不安のサインは、外出準備を始めた瞬間から現れます。

鍵を持っただけで不安そうにソワソワしたり、玄関で行かないでとばかりに吠えたり。

普段から、家の中でもずっと後をついて回り、トイレやお風呂のドアの前で待っている。

こうした「過度な密着」も、分離不安の予兆として注意が必要です。


改善のための練習と工夫

対応内容
短時間から練習5分の外出から徐々に延ばす
出入りを淡々と過度な挨拶や声かけをしない
独立心の育成クレートトレーニングで安心空間を
精神安定剤獣医師の判断で薬を使うことも

分離不安の改善には、少しずつ一人の時間に慣れさせる練習が必要です。

最初は5分だけ外出して戻り、何事もなかったように振る舞う。

これを繰り返すことで、「飼い主さんは必ず帰ってくる」と学習させます。

また、出かける時や帰宅時に大げさに声をかけず、淡々と接することも大切です。

重度の場合は、獣医師に相談して精神安定剤を使うことも選択肢になります。


安心して待てる居場所づくり

工夫具体的な方法
安全な空間クレートやサークルで落ち着ける場所を
知育玩具コングなど時間をかけて遊べるおもちゃ
音や匂いラジオ、飼い主の服で寂しさを軽減
窓からの刺激カーテンを閉め、外の音を遮断
運動の充実出かける前にたっぷり散歩

留守番の環境を整えることも、不安を和らげる助けになります。

クレートやサークルを「自分だけの安全基地」として認識させることで、安心して待てるようになります。

中に知育玩具(コングなど)を入れておけば、退屈せずに過ごせます。

出かける前にしっかり散歩をして、心身ともに満足させておくことも効果的です。

分離不安は、「甘えん坊」という愛情深さの裏返し。

焦らず、少しずつ、愛犬のペースで向き合っていきましょう。

シェパードの寿命と病気への理解を深めて人生最良のパートナーに

ここまで、シェパードの寿命や病気について、たくさんのことをお伝えしてきました。

読み進める中で、不安な気持ちになった瞬間もあったかもしれません。

でも、最後にお伝えしたいのは、知識は決して不安を増やすためのものではないということ。

むしろ、愛犬との時間を、もっと安心して、もっと深く愛するための「お守り」なんです。

シェパードの平均寿命は10〜13歳前後。

確かに、人間に比べればあっという間に感じる時間かもしれません。

でも、その限られた時間の中で、彼らは全身全霊で私たちを愛してくれています。

凛々しい外見の奥に隠された、甘えん坊な素顔。

飼い主さんのそばにぴったりくっついて眠る、温かくて大きな背中。

「おかえり」と言わんばかりに尻尾を振って迎えてくれる、あの嬉しそうな顔。

そのすべてが、かけがえのない宝物です。

股関節の病気や胃捻転、神経の病気といった、シェパード特有のリスクを知ることは、怖いことではありません。

「いつもと違う歩き方をしている」

「食後の様子がおかしい」

そんな小さな変化に気づけるようになることが、愛犬の命を守ることに繋がるんです。

病気は、早く気づいてあげられれば、一緒に乗り越えていけるもの。

寿命という「数字」に縛られるのではなく、今日という一日を、どれだけ笑顔で過ごせるか。

その積み重ねが、愛犬との「濃密な時間」を作っていきます。

7歳を過ぎてシニア期に入っても、そこには新しい幸せの形があります。

若い頃のように全力で走り回ることは減っても、ゆっくりと寄り添う時間は、何にも代えがたい穏やかさをくれるんです。

白髪が混じり始めた顔も、少しゆっくりになった足取りも。

それは「衰え」ではなく、一緒に歳を重ねてきた証

その一つひとつが、愛おしさを深めてくれます。

もし、愛犬の健康について不安なことがあったら。

ちょっとした変化が気になったら。

どうか一人で抱え込まず、動物病院に相談してみてください。

そして、私たちペッツメイトも、いつでも飼い主さんの「居場所」でありたいと思っています。

シェパードとの暮らしで困ったことや、心配なことがあれば、いつでも気軽にお声がけください。

▶︎私たちがお手伝いできること

あなたとシェパードの、かけがえのない時間を、私たちも一緒に守っていきたい。

その想いを、いつも胸に抱いています。

今日も、愛犬の温かい存在に感謝しながら。

一日一日を、笑顔で大切に過ごしていきましょう。

ペットメイト お悩み相談室

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