2026/2/16
セントバーナードの飼い方ガイド 80kgの巨体と日本で幸せに暮らす準備としつけ
大きな犬に憧れる!
セントバーナードに惹かれる理由は、きっとその圧倒的な存在感ではないでしょうか。
アルプスで遭難者を救った歴史を持ち、80kgを超える体でありながら穏やかで、子供にも優しい。そんな彼らと暮らす毎日を想像すると、ワクワクが止まりません。
でも「本当に飼えるのか?」という不安も、同時にありますよね。
日本の夏は大丈夫? 狭い家でも暮らせる? しつけはどうすればいい? この大きな体を、どうやって守ればいい? そんな疑問に、この記事では一つひとつ答えていきます。
歴史から読み解く本当の性格、日本の住宅で必要な環境づくり、80kgをコントロールするしつけと食事の工夫、そして命を守るために知っておきたい病気のサインまで。
セントバーナードとの暮らしが、想像から「できる」に変わる情報をお届けします。
まずは、この犬種がどんな歴史を持ち、どんな性格なのかを見ていきましょう。
セントバーナードの飼い方で知っておくべき基本の歴史と体格と寿命

セントバーナードを迎える前に、まず知っておきたいのが「彼らがどこから来て、どんな体と心を持っているか」です。
この犬種は、ただ「大きくて優しい犬」ではありません。スイス・アルプスの修道院で雪山の遭難者を救うために選ばれてきた歴史があり、その気質は今も色濃く残っています。穏やかで慈愛に満ちているけれど、決して指示待ちではない。自分で考えて行動する賢さと、時に見せる頑固さ。これが、セントバーナードの本質です。
そして、生後1年で体重が約100倍になる驚異的な成長スピードを持つ超大型犬でもあります。子犬の頃はぬいぐるみのように小さくても、あっという間に80kgを超える巨体へと成長します。この急激な変化に対応できる準備が必要です。
さらに、彼らには独特の「省エネモード」があります。無駄に動き回らず、静かに家族を見守る姿は、まるでアルプスの賢者のよう。でもその穏やかさの裏には、家族を守るための強い意志が隠れています。
この3つの特徴を理解することが、セントバーナードと幸せに暮らすための第一歩です。それでは、まず彼らのルーツから見ていきましょう。
アルプスの救助犬として活躍した歴史と名犬バリーの伝説
セントバーナードの穏やかさと賢さは、どこから来たのでしょう。
その答えは、スイス・アルプスのグラン・サン・ベルナール峠にあります。11世紀に修道院が建てられ、17世紀後半になって修道士たちが犬を飼い始めました。最初は番犬や荷物運びとして働いていた彼らが、やがて驚くべき能力を見せるようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 起源 | 11世紀設立の修道院、救助犬としての活躍は17世紀後半から |
| 役割 | 雪中遭難者の捜索・救助 |
| 特徴 | 先輩犬の行動を見て学び、自発的に救助を行う |
| 名犬バリー | 1800年〜1812年の間に40人以上の命を救った伝説の救助犬 |
| 現代への影響 | 穏やかで自律的な判断力を持つ気質が受け継がれている |
吹雪の中でも道を見つけ出す方向感覚と、雪に埋まった人を探し出す鋭い嗅覚。そして遭難者に寄り添って体を温める優しさ。これがセントバーナードの原点です。
面白いのは、当時の犬たちが特別な訓練を受けていなかったこと。若い犬は先輩犬の行動を見よう見まねで学び、自然と救助ができるようになっていったといいます。人の指示を待つのではなく、自分で考えて動く。この気質が、今も受け継がれているのです。
特に有名なのが、名犬バリー。1800年から1812年にかけて、40人以上の遭難者を救ったと伝えられています。1814年に亡くなった後、バリーの剥製は今もベルンの自然史博物館で大切に展示されています。当時のセントバーナードは今よりもスリムで機敏だったことが、その姿から分かります。
飼い主さんが「うちの子、言うこと聞かないな」と感じる瞬間があるかもしれません。でもそれは、彼らが状況を見て自分で判断できる賢さを持っているからこそ。
アルプスで磨かれた「自分で考える力」は、家族を守るために今も静かに働いています。
成犬時は80kgを超える超大型犬の体格と成長スピード
セントバーナードを迎えたとき、多くの方が驚くのが「成長の速さ」です。
生まれたときは数百グラムの小さな子犬が、わずか1年で50kgから70kgを超えます。人間に例えると、赤ちゃんが1年で大人の体重になるようなもの。そして2歳から3歳にかけて、最終的には90kg以上に達する子もいます。この驚異的な成長スピードを理解することが、セントバーナードと暮らす第一歩です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 成犬時の体重 | オス:70〜90kg、メス:60〜80kg |
| 体高 | オス:70〜90cm、メス:65〜80cm |
| 成長期間 | 生後1年で急激に成長、2〜3歳で完全に成熟 |
| 分類 | 超大型犬(Giant Breed) |
| 特徴 | 骨太で筋肉質、胸が深く、足腰への負担が大きい |
この成長スピードで気をつけたいのが、体が追いつかないリスク。骨や関節がまだ完成していないのに、体重だけがどんどん増えていきます。だからこそ、生後1年までの運動管理が、将来の健康を大きく左右します。
子犬の頃は元気いっぱいで、走り回りたがるかもしれません。でも、ジャンプや急な方向転換を伴う遊びは、未発達な関節を痛めてしまう恐れがあります。成長期は「ゆっくり育てる」が合言葉。散歩も短めにして、足腰をしっかり守ってあげましょう。
また、ゴールデン・レトリバーなどの大型犬に比べても、体重が2倍から3倍になるため、生活のすべてが「規格外」になります。フードの量、動物病院での麻酔量、そして万が一のときの介護。必要なスペースも、かかる費用も、すべて桁が変わってきます。
でも、この大きな体があるからこそ、家族を包み込むような安心感が生まれます。ソファで寄り添う温かさも、一緒に眠る幸せも、すべてこの圧倒的な存在感があってこそです。
成長スピードを理解して、ゆっくり大切に育てる。それが、セントバーナードと長く暮らすための最初の約束になります。るための必要なサポートと言えます。
▶︎参考【一般社団法人 ジャパンケネルクラブ】セント・バーナード
慈愛に満ちた性格と自分で考える賢い頑固さの特徴
セントバーナードと暮らし始めた方が、まず驚くのが「この穏やかさ」です。
80kgを超える巨体でありながら、子供が近づいても優しく接し、家族が悲しんでいればそっと寄り添う。まるでアルプスの賢者のように、無駄な動きをせず、静かに家族を見守ります。この慈愛に満ちた性格こそが、セントバーナードの最大の魅力です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本性格 | 穏やか、忍耐強い、家族思い |
| 子供への態度 | 優しく寛容、保護本能が強い |
| 活動レベル | 低〜中程度(省エネモード) |
| 社交性 | 家族には深い愛情、知らない人にはやや慎重 |
| 特徴的な気質 | 自分で考えて行動する自律性、時に見せる頑固さ |
子供たちの遊び相手としても非常に寛容で、優しく見守ってくれる「頼れる家族」になってくれます。ただ、この穏やかさには「もう一つの顔」があります。それが、自分で考えて行動する賢さです。
救助犬として自ら判断して動いてきた歴史があるため、納得いかない指示には従わない「賢い頑固さ」を見せることがあります。だから「おいで」と呼んでも、「今はその必要がない」と判断すれば動かないことも。
身体が大きいため力で制御したくなりますが、実はとても繊細な心を持っています。信頼関係を築く「褒めるしつけ」が、彼らには何より効果的です。なぜそうしてほしいのかを丁寧に伝え、納得させるようなアプローチが大切になります。
また、一日中寝そべっているように見えても、それは怠けているわけではありません。大きな体を効率よく動かすために、普段は「省エネモード」でゆったり過ごしているのです。でも、家族に危険が迫ったときは、その穏やかな目が輝きます。
家族を守るために静かに観察し、必要なときだけ動く。それがセントバーナードの生き方です。
セントバーナードの室内での飼い方と日本の気候に合わせた環境づくり

セントバーナードを日本で迎えるとき、最も大切なのが「環境づくり」です。
アルプス生まれの彼らにとって、日本の夏は命に関わるほどの暑さ。厚い被毛に覆われた体は、25度を超えるだけで熱中症のリスクが高まります。そして80kgの巨体を支える足腰は、滑りやすいフローリングでは簡単に痛めてしまいます。さらに、幸せそうに振られる尻尾は、テーブルの上の物を一瞬で吹き飛ばす破壊兵器にもなります。
でも、これらはすべて「準備次第」で解決できることばかり。
24時間のエアコン管理で暑さから命を守り、滑り止め対策をした床で足腰を守り、ヨダレと共存する工夫で清潔な暮らしを保つ。この3つを整えれば、セントバーナードとの暮らしは驚くほど快適になります。
「大型犬を飼ったことがあるから大丈夫」と思っていても、超大型犬は想像以上にスケールが違います。必要な電気代も、床の対策も、すべてが桁違い。でも、その準備があるからこそ、彼らは安心して家族の一員として過ごせます。
温度管理、床の対策、そして日々のケア。一つずつ、具体的に見ていきましょう。
日本の夏は命取りになるため23度以下を死守する温度管理
セントバーナードにとって、日本の夏は「サウナ」と同じです。
アルプスの寒冷地で育まれた厚い被毛は、氷点下でも体温を保つ防寒着。でも、その分暑さには極端に弱く、気温が25度を超えると熱中症のリスクが一気に高まります。彼らを日本で迎えるなら、室温23度以下を保つ覚悟が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 推奨室温 | 23度以下(夏季は20〜22度が理想) |
| エアコン稼働 | 24時間365日(外出時も必須) |
| 電気代の目安 | 月額+1〜2万円程度 |
| 危険な症状 | ハアハアが止まらない、よだれが大量、ぐったりしている |
| 対策の位置づけ | 贅沢ではなく「生命維持コスト」 |
24時間エアコン稼働は生命維持コストと割り切る覚悟
「ちょっと暑いけど窓を開けておけば」は、セントバーナードには通用しません。
設定温度は23度以下、できれば20度から22度を保ちたいところ。真夏はもちろん、春や秋の気温が高い日も油断できません。外出時にエアコンを切ってしまうと、帰宅したときには命に関わる状態になっている恐れがあります。
電気代は月に1万円から2万円ほど増えることを覚悟してください。「もったいない」と感じるかもしれませんが、これは贅沢ではなく命を守るための必要経費です。人間が快適と感じる温度では、彼らにとっては暑すぎます。
夏場の散歩は日の出前と日没後の徹底
室温管理と同じくらい大切なのが、散歩の時間帯。
日中のアスファルトは50度を超えることもあり、肉球が火傷してしまいます。散歩は必ず早朝(日の出前)か、夜(日没後で地面が冷えてから)に。手のひらを地面に5秒当てて、熱くなければOKのサイン。アスファルトの温度確認を習慣にしましょう。
日中は室内で静かに過ごさせ、無理に運動させないこと。彼らは本能的に暑い時間帯は動きたがりません。その「省エネモード」を尊重してあげてください。
巨体を支える床の滑り止め対策と破壊を防ぐ家具配置
80kgの体を支える足腰にとって、滑りやすい床は「氷の上を歩く」のと同じです。
フローリングで滑ると、股関節や膝に大きな負担がかかり、将来的に歩けなくなるリスクが高まります。そして、幸せそうに振られる尻尾は、想像以上の破壊力を持っています。セントバーナードと快適に暮らすには、床と家具の配置を「彼ら仕様」に変えることが必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 床の危険性 | フローリングは滑りやすく、関節に大きな負担 |
| 推奨対策 | コルクマット、滑り止めワックス、カーペット |
| 尻尾の高さ | 地上50〜80cm(テーブルの高さ) |
| 家具配置の工夫 | 尻尾の高さに物を置かない |
| 効果 | 股関節形成不全の予防、家具の破損防止 |
フローリングは氷の上と同じためコルクマットでグリップ確保
ツルツル滑るフローリングは、セントバーナードの足腰にとって大敵です。
特に子犬の頃から滑る床で育つと、股関節形成不全のリスクが跳ね上がります。毎日の生活で「踏ん張れない」ストレスが積み重なり、関節が変形してしまうのです。
対策として最も効果的なのが、コルクマットや滑り止めマットを敷くこと。特に、よく歩く動線(玄関からリビング、水飲み場への道など)は優先的にカバーしましょう。滑り止めワックスも有効ですが、定期的な塗り直しが必要です。
「部屋の見た目が」と気になるかもしれませんが、これは愛犬への最初にして最大のプレゼント。足腰を守ることは、長く一緒に暮らすための投資です。
尻尾は幸せの破壊兵器なため地上80cmの貴重品避難
セントバーナードの尻尾は、地上50cmから80cmの高さを振り抜きます。
つまり、ローテーブルやサイドテーブルの上に置いたコップ、リモコン、スマホは、彼らが嬉しくて尻尾を振った瞬間に吹き飛びます。悪気は全くありません。ただ、家族が帰ってきて嬉しいだけ。でも、その「幸せの破壊兵器」対策は必須です。
尻尾の高さには物を置かないというルールを徹底しましょう。貴重品は高い棚か、クローゼットの中へ。観葉植物も倒される可能性があるので、床置きは避けた方が安心です。
「セントバーナード仕様の部屋」は、少し殺風景かもしれません。でも、そのシンプルさが、彼らとのストレスフリーな暮らしを作ります。
家中にタオルを配備するヨダレとの共存生活と衛生管理
セントバーナードと暮らすなら、ヨダレは「避けられない日常」です。
食事の前後、水を飲んだ後、興奮したとき、そして暑い日。あらゆる場面で、粘度の高いヨダレが糸を引きます。壁に飛び、服につき、床に落ちる。これを「汚い」と感じてしまうと、暮らしはストレスになります。でも、ヨダレと共存する仕組みを作れば、清潔さを保ちながら快適に暮らせます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ヨダレが多い場面 | 食事前後、水を飲んだ後、興奮時、暑い日 |
| 対策の基本 | 家中にタオルを配置する「ヨダレステーション」 |
| 衛生管理 | 食後の口拭きルーティン、壁の保護 |
| 予防効果 | 皮膚炎(膿皮症)の予防 |
| 心構え | ヨダレは「愛情表現」の一部 |
ヨダレステーションの設置と壁の保護
ヨダレ対策の基本は、家の要所に専用タオルを配置すること。
玄関、リビング、寝室、そして水飲み場の近く。これらの場所に「ヨダレステーション」を作っておけば、いつでもサッと拭けます。タオルは使い捨てのペーパータオルでもOKですが、洗って繰り返し使える古いタオルの方が経済的です。
また、セントバーナードが頭を振ると、ヨダレが壁に飛び散ります。特に、よく通る廊下や食事スペースの壁は、拭けるシートやビニールクロスで保護しておくと掃除が楽になります。
「ヨダレステーション」という名前をつけることで、家族みんなが「これは当たり前のこと」と受け入れやすくなります。
食後の口拭きルーティンで清潔を保つ
ヨダレをそのまま放置すると、顔の周りの皮膚が蒸れて細菌感染を起こし、膿皮症になる恐れがあります。
食後は必ず、口の周りと顎の下を優しく拭く習慣をつけましょう。特に、顎の下のシワの間は湿気がこもりやすく、皮膚トラブルの温床になります。濡れタオルで拭いた後、乾いたタオルで水気を取ることがポイントです。
ヨダレは彼らの体質であり、愛情表現の一部。家族を見て嬉しくて口元が緩む、その結果がヨダレです。「ヨダレまみれのシャツ」が、いつか愛おしい思い出になります。
80kgをコントロールするセントバーナードのしつけと食事のルール

80kgの体を持つセントバーナードは、力では絶対に勝てません。
リードを引っ張られたら転倒し、飛びつかれたら押し倒される。そして、間違った食事の与え方は命を奪います。だからこそ必要なのが、力ではなく信頼関係に基づくしつけと、胃捻転を防ぐ食事管理です。
「言うことを聞かせる」という発想では、彼らの心は動きません。自分で考えて行動する彼らには、「なぜそうする必要があるのか」を納得させるアプローチが効果的です。
散歩中の引っ張り癖をなくす工夫、飛びつきを防ぐ家族全員でのルール統一、そして食後の完全休息。この3つを押さえることで、セントバーナードとの暮らしは驚くほど安全で穏やかになります。
力で制御するのではなく、パートナーとして対話する。それが、80kgと暮らすための基本です。
それでは、具体的な方法を一つずつ見ていきましょう。
散歩中の引っ張り癖をなくす歩行のシンクロと道具の活用
80kgに引っ張られたら、飼い主が転倒して大怪我をします。
散歩中の引っ張り癖は、セントバーナードにとって最も危険な問題の一つ。力で抑え込もうとしても無理ですし、彼らの首や気管を傷つける恐れもあります。必要なのは、散歩を「対話の時間」に変えることです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 問題 | 引っ張られると飼い主が転倒・骨折のリスク |
| 基本の考え方 | 運動ではなく、飼い主とペースを合わせる練習 |
| トレーニング方法 | リードが緩んでいる時だけ前進、引っ張ったら立ち止まる |
| 補助道具 | ジェントルリーダー、フロントアタッチメントハーネス |
| 目標 | 飼い主の横を落ち着いて歩く「シンクロ」 |
引っ張り癖をなくすには、「リードが緩んでいる時だけ前に進む」というルールを徹底します。セントバーナードが前に出てリードがピンと張ったら、飼い主は立ち止まる。動かない。彼らが「あれ?」と振り返ってリードが緩んだ瞬間に、また歩き始めます。
この繰り返しで、「飼い主とペースを合わせると散歩が進む」ことを学習させます。最初は5mも進めないかもしれません。でも、根気よく続けることで、必ず変化が訪れます。
また、ジェントルリーダーやフロントアタッチメントハーネスなどの補助道具を使うことも、決して恥ずかしいことではありません。これらは犬の顔や胸の前に装着することで、引っ張る力を物理的に逃がす仕組みになっています。「安全装置」として賢く活用しましょう。
散歩は運動の時間ではなく、飼い主との絆を深める対話の時間。その意識を持つことが、引っ張り癖解消の第一歩です。
事故を防ぐための飛びつき防止トレーニングと静寂の儀式
セントバーナードの「嬉しい飛びつき」は、子供や高齢者にとって凶器になります。
悪気はありません。ただ、大好きな家族が帰ってきて嬉しいだけ。でも、80kgの体重で前足をかけられたら、大人でも簡単に倒れてしまいます。だからこそ、4本の足が床についている時だけ構ってもらえるルールを徹底する必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 問題 | 飛びつきによる転倒・骨折のリスク |
| 基本ルール | 4本足が床についている時だけ撫でる・声をかける |
| 帰宅時の対応 | 興奮している間は完全無視、落ち着いたら静かに撫でる |
| 家族の協力 | 全員が同じルールを守る(人によって態度を変えない) |
| 目標 | 落ち着いて座って待つ「静寂の儀式」 |
帰宅時、玄関でセントバーナードが飛びついてきても、目を合わせず、声をかけず、触らず、完全に無視します。興奮が落ち着いて座ったり、4本足が床についた瞬間に、初めて静かに撫でてあげます。
もし再び興奮して飛びつこうとしたら、また無視。この繰り返しで、「落ち着いている時だけ、家族は構ってくれる」と学習します。
ここで最も難しいのが、家族全員でルールを統一すること。お父さんは厳しいのに、お母さんは甘い。そんな状態では、犬は混乱してしまいます。来客にも協力してもらい、飛びつかれても無視してもらうようお願いしましょう。
「嬉しそうにしているのに無視するなんて可哀想」と感じるかもしれません。でも、この我慢が、将来の事故を防ぎます。落ち着いて待てるようになった姿を見たとき、その努力が報われます。
命に関わる胃捻転を防ぐための食後の完全休息と食事回数
セントバーナードにとって、胃捻転は「突然死」を招く最も恐ろしい病気です。
胸が深い超大型犬特有のリスクで、胃がガスで膨張してねじれ、数時間で命を落とすこともあります。救えるのは、飼い主の日々の食事管理だけ。食後90分の完全休息と、早食いを防ぐ工夫が、命を守る鍵になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 胃捻転とは | 胃がガスで膨らみ、ねじれて血流が止まる緊急疾患 |
| 危険な行動 | 食後すぐの運動、早食い、一度に大量の食事 |
| 予防策① | 食後90分はシエスタ(完全休息)を徹底 |
| 予防策② | 早食い防止食器の使用、1日2〜3回に分けて給餌 |
| 緊急症状 | お腹が急に膨れる、吐こうとするが何も出ない、落ち着きがない |
食後すぐに散歩へ行ったり、遊んだりすることは絶対に避けてください。食べた直後に体を動かすと、胃の中でガスが発生しやすくなり、胃がねじれるリスクが跳ね上がります。
食後90分はシエスタ。静かに休ませることを徹底しましょう。家族が動き回っていても、セントバーナードだけは落ち着いた場所で寝かせてあげてください。
また、ガツガツと勢いよく食べる早食いも危険です。早食い防止食器を使ったり、食事を1日2回から3回に小分けにして、一度に胃に入る量を減らしましょう。
もしお腹が急に膨れたり、吐こうとしても何も出ない様子が見られたら、すぐに動物病院へ。胃捻転は一刻を争う緊急事態です。
食後の休息は、命を守る習慣です。
セントバーナードの飼い方で重要な変化に気づくケアと病気

セントバーナードとの暮らしで大切なのが、日々のケアと健康チェックです。
厚い被毛の下で起きている皮膚トラブル、急激な成長による関節への負担、そして超大型犬特有の病気のサイン。これらを早期に見つけることが、彼らの健康を守ります。
換毛期の抜け毛は驚くほど大量ですが、ブラッシングをスキンシップの時間に変えることで、皮膚の異常にも気づけます。成長期には激しい運動を控えて骨の成長を守り、そして日常の中で病気の小さなサインを見逃さない観察力が必要です。
「ただの足の痛み」と思っていたら骨肉腫だった。「少し咳が出るだけ」と放置したら心臓病が進行していた。そんな後悔をしないために、飼い主ができることがあります。
毎日触れることで気づける変化、成長期だからこそ注意すべきこと、そして命に関わる病気の初期症状。一つずつ、見ていきましょう。
ダブルコートの換毛期対策と皮膚を守るブラッシング習慣
セントバーナードの被毛は、ダブルコート構造で驚くほど厚みがあります。
春と秋の換毛期には、部屋中が毛だらけになるほどの抜け毛。でも、この抜け毛対策を怠ると、皮膚が蒸れて細菌感染を起こし、膿皮症などの皮膚病になる恐れがあります。ブラッシングを毎日のスキンシップの時間にすることで、皮膚の健康を守れます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 被毛タイプ | ダブルコート(硬い上毛と柔らかい下毛) |
| 換毛期 | 春と秋、大量の下毛が抜ける |
| ブラッシング頻度 | 週2〜3回、換毛期は毎日 |
| 推奨道具 | スリッカーブラシ、アンダーコートレーキ |
| 注意点 | シャンプー後は完全乾燥が必須(皮膚病予防) |
ブラッシングは、抜け毛を取るだけでなく、皮膚の状態をチェックする大切な時間です。赤みや湿疹、しこりがないか、触りながら確認しましょう。厚い被毛に隠れて、皮膚トラブルは見つけにくいため、毎日触れることが早期発見につながります。
特に注意したいのが、シャンプー後の乾燥です。被毛が厚いため、表面が乾いていても、皮膚の近くは湿ったまま。ドライヤーでしっかり根元まで乾かすことが、皮膚病予防の鉄則です。生乾きのまま放置すると、蒸れて細菌が繁殖してしまいます。
換毛期の抜け毛は大変ですが、この時間を「愛犬と向き合う時間」として楽しむ気持ちが大切です。ブラッシングされている間、彼らはとても穏やかな表情を見せてくれます。
成長期の運動制限と大型犬特有の股関節形成不全の予防
セントバーナードのような超大型犬は、骨格が完全に固まるまで約2歳頃までかかります。
急激に体が大きくなるこの時期に激しい運動をさせると、骨や関節が完成する前に負担がかかり、股関節形成不全などの病気を引き起こします。成長期は「スローダウン」が合言葉。ゆっくり育てることが、将来の足腰を守ります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 成長期 | 約2歳頃まで(骨格が完全に固まるまで) |
| 避けるべき運動 | ジャンプ、フリスビー、激しい方向転換、階段の上り下り |
| 推奨される運動 | ゆっくりとした散歩、平坦な道を歩く |
| リスクのある病気 | 股関節形成不全、肘関節形成不全 |
| 予防のポイント | 体重管理と運動制限 |
フリスビーやボール投げ、ドッグランでの全力疾走。こういった遊びは、体がしっかりしてからのお楽しみ。骨がまだ柔らかい時期に、ジャンプや階段の上り下りで強い衝撃を与えると、関節がゆがんでしまう原因になります。
散歩は短めに、ゆっくりと。「元気だから大丈夫」と思っても、骨の成長が追いついていないことを忘れないでください。
また、体重管理も重要です。体がどんどん大きくなるからこそ、あえて「ゆっくり、じわじわ」と体重を増やしていくことが、将来の強い足腰を作る秘訣です。成長期用のフードを適量与え、急激な体重増加を避けましょう。
1歳を過ぎて体がしっかりしてきたら、様子を見ながら少しずつ運動の幅を広げていきましょう。今の我慢が、将来の元気な足腰を作ります。
骨肉腫や心筋症など気をつけるべき病気のサインと早期発見
セントバーナードには、超大型犬特有の病気がいくつかあります。
「ただの足の痛み」と思っていたら骨肉腫だった。「少し咳が出るだけ」と放置したら心臓病が進行していた。早期発見が命を救うからこそ、日常の小さなサインを見逃さない観察力が必要です。
| 病気 | 初期症状・サイン |
|---|---|
| 骨肉腫 | 突然の足の痛み、びっこを引く、足を庇う |
| 拡張型心筋症 | 疲れやすい、咳が出る、失神 |
| 特発性てんかん | 痙攣発作、意識を失う、体が硬直する |
| 眼瞼内反・外反症 | 目の充血、涙が多い、目をこする |
| 膿皮症 | 皮膚の赤み、べたつき、悪臭 |
骨肉腫は、超大型犬に多発する骨の癌です。ある日突然、足を引きずり始めたら要注意。捻挫だと思って様子を見ていると、進行が速く手遅れになる恐れがあります。数日続く跛行(びっこ)は、すぐに動物病院でレントゲン検査を受けましょう。
拡張型心筋症は、心臓の筋肉が薄く伸びてポンプ機能が低下する病気。疲れやすい、散歩を嫌がる、咳が出るといった症状が見られたら、心臓の検査を。初期は無症状のため、定期的な心臓エコー検査が早期発見につながります。
特発性てんかんは、原因不明の痙攣発作を起こす病気。突然倒れて体が硬直したり、ガクガクと震えたりします。発作が起きたら、手を出さず(噛まれる危険)、動画を撮影して獣医師に見せましょう。周りの物を退けて、安全を確保することが大切です。
日々の観察と、定期的な健康診断。この2つが、セントバーナードの命を守ります。
セントバーナードとの濃密な時間を最高のパートナーとして生きるために

セントバーナードとの暮らしは、正直に言って「大変」です。
24時間稼働のエアコン、床一面のコルクマット、家中に配置されたヨダレ拭きタオル。そして、8年から10年という限られた時間。迎える前に不安になるのは、当たり前のことです。
でも、その不安を乗り越えて迎えた方々が、口を揃えて言います。「大変だけど、それ以上に幸せ」と。
帰宅したときに玄関で待っている安心感。ソファで寄り添う圧倒的な温かさ。悲しいとき、何も言わずにそばに来てくれる優しさ。アルプスで人の命を救ってきた歴史が、今も彼らの心に生きています。
ヨダレまみれのシャツも、飛び散った水も、テーブルから吹き飛ばされたリモコンも、いつか「あの頃は大変だったけど幸せだった」と笑える思い出に変わります。完璧なインテリアよりも、彼らとの時間を選んだ日々が、かけがえのない宝物になります。
大切なのは、準備と覚悟。そして、彼らを「ペット」ではなく「家族」として迎える気持ちです。
温度管理も、床の対策も、しつけも、すべては彼らと長く幸せに暮らすための愛情表現。一つひとつの工夫が、セントバーナードの命を守り、絆を深めます。
セントバーナードとの暮らしに不安があるとき、環境づくりやしつけで悩んだとき、ペッツメイトはいつでもそばにいます。
ペットの”命”を想う方へ。私たちはいつでもそばにいます。
あなたとセントバーナードが、最高の家族になれますように。