2026/2/16
セントバーナードの寿命と病気の基礎知識|愛おしい時間を健やかに守るための見守り習慣
「セントバーナードって、どんな病気に気をつけたらいいんだろう…」
大きな体に、優しい瞳。そんなセントバーナードを家族に迎えたい、あるいはすでに一緒に暮らしているあなたは、きっとこんな不安を感じたことがあるはずです。
「この子、寿命が短いって聞いたけど本当?」
「大きいぶん、体への負担も大きいのかな…」
「もし病気になったら、何に気づいてあげればいいんだろう」
その心配、とてもよくわかります。愛おしいからこそ、守りたいからこそ、不安になってしまうんですよね。
でも、大丈夫ですよ。
セントバーナードは確かに、その大きな体ゆえに気をつけたい病気がいくつかあります。でも逆に言えば、「知っていれば守れること」がたくさんあるということなんです。
小さなサインに気づいてあげられるかどうか。それが、愛犬との時間を健やかに、そして幸せに過ごすための鍵になります。
この記事では、セントバーナードがかかりやすい病気について、難しい専門用語はできるだけ使わずに、あなたと一緒に見ていきたいと思います。
「どんな症状に気をつければいいのか」
「予防のためにできることは何か」
「もし病気になったら、どう向き合えばいいのか」
そんな疑問に、やさしく寄り添いながらお答えしていきますね。
まずは、セントバーナードという犬種そのものについて、少しだけ知っておきましょう。彼らの歴史や性格を理解することが、病気を理解する第一歩になることも。
それでは、一緒に見ていきましょう。
セントバーナードの基礎知識|救助犬の歴史と穏やかな巨人の素顔

セントバーナードのことを知れば知るほど、彼らがどうしてこんなにも優しいのか、そしてどうして特定の病気に気をつける必要があるのかが、すっと腑に落ちてきます。
スイスの雪山で、何世紀にもわたって人の命を救ってきた彼らの歴史。そこには、今も彼らの体と心に刻まれている「使命」があります。
「どうしてこんなに大きな体なの?」
「どうしてこんなに穏やかなの?」
「どうして寒さには強いけど、暑さには弱いの?」
その答えは、すべて彼らの生まれ育った環境と、果たしてきた役割の中にあります。
この先では、セントバーナードの性格や体の特徴、そして伝説の救助犬「バリー」のお話まで、あなたの愛犬をもっと深く理解するための大切なヒントをお届けします。
彼らの「今」を守るためには、まず彼らの「ルーツ」を知ること。それが、病気と向き合う心の準備にもなります。
一緒に、セントバーナードという犬種の素顔を覗いてみましょう。
穏やかで賢い優しい巨人の性格と暮らし
セントバーナードと暮らし始めた飼い主さんからこんな言葉を聞くことがあります。
「この子、本当に犬なのかな…?」って。
まるで、ずっと昔から家族だったかのように、あなたの気持ちを察してそっと寄り添ってくる。子供が泣いていれば黙ってそばに座り、あなたが疲れていれば何も言わずに足元で丸くなる。
セントバーナードは、「優しい巨人(Gentle Giant)」と呼ばれています。でもそれは、ただ大人しいという意味ではないんです。
彼らは、状況を観察して自分で考えて行動する、とても賢い犬なんですよ。アルプスの雪山で遭難者を救うために、人間の指示を待たず、自分の判断で行動してきた歴史。そんな「自律的な優しさ」が、彼らには刻まれているんです。
だからセントバーナードは、命令されて動くというよりも、「あなたを喜ばせたい」という気持ちで動いてくれます。頑固に見えることもありますが、それは「本当に必要なことかな?」と自分で考えている証拠。信頼し合うパートナーとして向き合ってあげると、最高の相棒になってくれますよ。
家の中では、元々は番犬としてのルーツもあるため、必要なとき以外は驚くほど静かです。
| 性格の特徴 | 具体的な様子 |
|---|---|
| 穏やかで忍耐強い | 子供が多少乱暴に触っても、じっと我慢してくれます |
| 観察力が高い | 飼い主の表情や声のトーンから、気持ちを察する力があります |
| 自己判断力がある | 「本当に必要?」と考えるため、しつこい命令には動かないことも |
| 家族への愛情が深い | 見知らぬ人には慎重ですが、家族には全幅の信頼を寄せます |
| 必要なとき以外は静か | 番犬の本能はありますが、無駄吠えは少ない犬種です |
ただし、この穏やかさは「何もしなくても勝手に育つ」わけではありません。子犬の頃から、いろんな人や音、環境に触れさせてあげることが大切です。
社会化が十分でないと、知らない人や場所に不安を感じ、防衛的な行動につながることも。体が大きいぶん、恐怖心からくる反応も大きくなるので、子犬の時期の社会化はとても重要なんですよ。
愛情をたっぷり注いで正しく接してあげれば、セントバーナードは心優しい家族になってくれます。
▶︎参考【一般社団法人 ジャパンケネルクラブ】セント・バーナード
セントバーナードの大きさとダブルコート|抜け毛とヨダレのお手入れ
セントバーナードの体の大きさは、想像以上です。
成犬のオスだと、体重は80kgを超えることも珍しくありません。中には90kg以上、時には100kg近くになる子もいます。これは、小学校高学年の子供と同じくらいの重さなんです。
そして驚くべきは、その成長スピード。生まれたときは500gほどだった赤ちゃんが、1歳になる頃には体重が約100倍にもなるんですよ。まるでロケットのような成長ぶりですよね。
この急激な成長こそが、実はセントバーナードの体に大きな負担をかける理由のひとつなんです。骨や関節が、追いつかないほどのスピードで大きくなっていく。だからこそ、子犬の時期の過度な運動は避けて、あえて「ゆっくり」過ごさせてあげることが、将来の健康を守るプレゼントになります。
そして、あの豊かな被毛。セントバーナードは、アルプスの厳しい寒さに耐えるための「ダブルコート」を持っています。
ふわふわの下毛(アンダーコート)と、しっかりした上毛(オーバーコート)の二層構造。触るとモフモフで気持ちいいのですが、その分、抜け毛もかなりのものです。
特に春と秋の換毛期には、家中が毛だらけになることも。毎日のブラッシングは欠かせませんし、掃除機も大活躍します。「毛と暮らす覚悟」が必要、と言っても過言ではありません。
| 体の特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 体重(成犬) | オス:70〜90kg / メス:55〜75kg |
| 体高 | オス:70〜90cm / メス:65〜80cm |
| 成長期間 | 完全に成熟するまで2〜3年かかります |
| 被毛タイプ | ダブルコート(長毛タイプと短毛タイプがあります) |
| 換毛期 | 春と秋の年2回。抜け毛がとても多い時期です |
そして、もうひとつ。セントバーナードと言えば、忘れてはいけないのが「ヨダレ」です。
あの大きな口元から、トローンと垂れるヨダレ。これは彼らのチャームポイントでもありますが、正直に言うと、お手入れは大変です。
首を振ると壁に飛び散り、ソファに寝転べばクッションが濡れる。でも、これもセントバーナードの一部。ヨダレ拭き用のタオルを家のあちこちに置いて、こまめに拭いてあげることが、清潔を保つコツです。
そして実は、このヨダレを放置すると、皮膚炎の原因にもなるんです。口周りの毛が常に湿っていると、細菌が繁殖しやすくなります。だから、ヨダレを拭くことは、見た目の問題だけじゃなく、健康管理の一環でもあるんですよ。
アルプスの寒さには強いセントバーナードですが、日本の湿気はちょっと苦手。夏場はエアコンで涼しく保ってあげて、湿度管理にも気をつけてあげてくださいね。
雪山の英雄バリーから続く歴史と名前の由来
セントバーナードという名前を聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?
首に小さな樽を下げて、雪の中を歩く大きな犬の姿。実はこの樽のイメージ、1820年に画家ランドシーアが描いた絵画から広まったものなんです。でも今では、彼らの勇敢さの象徴として世界中で愛されています。
そして、その樽のイメージの裏には、本当の歴史が刻まれているんです。
時は11世紀。スイスとイタリアの国境にある、標高2,469メートルの「グラン・サン・ベルナール峠」に、聖職者ベルナール・ド・マントンが宿坊(ホスピス)を建てました。
そして17世紀頃、修道士たちは近くの谷から大きな犬たちを連れてきました。これが、セントバーナードの直接の祖先なんです。この宿坊の名前が、やがて犬種名にもなりました。
最初は番犬として飼われていた彼らですが、やがて驚くべき能力を発揮し始めました。深い雪の中でも道を見失わない方向感覚、雪崩に埋もれた人を嗅ぎ当てる鋭い嗅覚、そして何より、遭難者のそばに寄り添い、体を温めて蘇生させる本能的な優しさ。
特筆すべきは、修道士たちが体系的な訓練をしていなかったという事実です。若い犬たちは、経験豊かな年長の犬と一緒に雪山を歩き、見よう見まねで救助の技術を学んでいったんです。これは、セントバーナードが単なる「従順な犬」ではなく、状況を自分で判断して行動できる高い知性を持っていることの証なんですよ。
| 歴史のポイント | 内容 |
|---|---|
| 起源 | 11世紀に宿坊設立、17世紀頃から救助犬としての歴史が始まる |
| 名前の由来 | ホスピスを建てた聖職者「ベルナール・ド・マントン」にちなんで命名 |
| 救助犬としての活躍 | 17世紀頃から雪中遭難者の救助活動を開始 |
| 伝説の救助犬バリー | 1800〜1812年に40人以上の命を救ったとされる |
| 日本への伝来 | 明治時代(1890年代頃)に輸入され、日本でも愛される犬種に |
そして、セントバーナードの歴史で最も有名なのが、伝説の救助犬「バリー(Barry)」です。
1800年から1812年にかけて、バリーは40人以上の命を救ったと言われています。雪に埋もれた少年を見つけて温め、背中に乗せて運んだという心温まる伝説も残されています。
バリーの剥製は、今もスイスのベルン自然史博物館に展示されています。興味深いのは、現代のセントバーナードよりもずっと体が小さく、被毛も短いこと。これは、その後の品種改良で大型化・長毛化が進んだことを示しているんです。
こうした歴史を知ると、セントバーナードの穏やかさや賢さが、何百年もかけて培われてきたものだとわかりますよね。彼らの優しさは、雪山で人を救うという使命の中で、自然に選ばれ、磨かれてきたものなんです。
セントバーナードの寿命と年齢ごとの見守り方

セントバーナードを家族に迎えたとき、きっと誰もが心のどこかで思うことがあります。
「この子と、どれくらい一緒にいられるんだろう…」
大きな体に、穏やかな瞳。その存在はあまりにも頼もしくて、ずっとそばにいてくれるような気がしてしまう。でも、大型犬の時間は、私たちが思うよりもずっと速く流れていくんです。
セントバーナードの平均寿命は、8年から10年ほど。小型犬が15年以上生きることも珍しくない中で、この数字を見ると、胸がぎゅっと締め付けられますよね。
「短すぎる…」
そう感じるのは、当たり前のことです。愛おしいからこそ、もっと長く一緒にいたいと願ってしまう。
でも、ここで少しだけ視点を変えてみませんか?
彼らの時間は確かに短いかもしれません。でも、その短い時間の中に、どれだけ濃密な愛と幸せが詰まっているか。それを知ると、見え方が変わってくるんです。
この先では、セントバーナードの成長のスピードや、年齢ごとに気をつけてあげたいこと、そして限られた時間をどう過ごすかについて、一緒に考えていきます。
「いつか来る別れ」を恐れるのではなく、「今この瞬間」を大切にするために。
彼らが教えてくれる「今を生きる喜び」を、しっかりと受け取るために。
さあ、セントバーナードのライフステージを、ひとつひとつ見ていきましょう。
人間年齢で考える成長のスピードと目安
セントバーナードの時計の針は、私たち人間とは違う速さで進んでいきます。
特にセントバーナードのような超大型犬は、最初の1年で驚くほど急速に成長します。生まれたばかりの子犬が、わずか1年で人間でいう15歳前後まで成長する。500gほどだった小さな命が、1歳を迎える頃には50kg、60kgを超えていく。その成長スピードには、時間の貴重さを実感せずにはいられません。
そして2歳になる頃には、人間でいえば20代前半ほど。セントバーナードとして、体も心も一人前になる時期です。
3歳、4歳、5歳と、彼らにとって最も充実した時間が流れていきます。人間でいえば30代、40代といったところでしょうか。
でも、6歳を過ぎる頃から、少しずつ「シニア期」の入り口に差しかかります。小型犬ならまだまだ若々しい年齢ですが、セントバーナードにとっては、体のあちこちに負担が蓄積し始める時期なんです。
| 犬の年齢 | 人間年齢の目安 | ライフステージ |
|---|---|---|
| 1歳 | 15歳前後 | 子犬期(急成長期) |
| 2歳 | 23歳前後 | 若い成犬期 |
| 3歳 | 30歳前後 | 成犬期(充実期) |
| 5歳 | 44歳前後 | 成犬期(成熟期) |
| 6歳 | 51歳前後 | シニア初期 |
| 8歳 | 65歳前後 | シニア期 |
| 10歳 | 80歳近く | 高齢期 |
8歳で、もう人間の65歳。10歳を超えると、80歳近くになります。小型犬の飼い主さんが「うちの子、まだ8歳だから若いよ」と言っているとき、セントバーナードの8歳は、もう立派なシニア犬なんです。
だからこそ、彼らと過ごす1年1年、いえ、1日1日が、かけがえのない宝物になるんです。セントバーナードの時計は速く進むかもしれません。
でもその分、彼らは私たちに、「今」を大切に生きることを教えてくれています。
寿命についての考え方と向き合い方
「8年から10年」
セントバーナードの平均寿命を数字で見ると、どうしても胸が苦しくなりますよね。
「短すぎる…」「もっと一緒にいたい…」
その気持ち、本当によくわかります。愛おしいからこそ、別れを想像するだけで涙が出そうになる。それは、あなたが心から愛している証拠なんです。
でも、ここで少しだけ視点を変えてみませんか?
セントバーナードのような大型犬は、その大きな体ゆえに、心臓や関節に負担がかかりやすいのは事実です。体が大きければ大きいほど、臓器への負荷も大きくなります。これは、生物学的にどうしても避けられないことなんです。
でも、「寿命が短い」ことを嘆くのではなく、その時間の中に、どれだけ濃密な愛が詰まっているかを見つめてほしいんです。
人間が80年かけて学ぶ「無償の愛」や「今を生きる喜び」を、彼らはわずか10年で、私たちに教えてくれます。朝起きたときの全身での喜び、散歩の途中で見せる満足そうな表情、あなたのそばでただ静かに寝息を立てている安心感。
その一瞬一瞬が、彼らにとっても、あなたにとっても、かけがえのない幸せなんです。
| 寿命に影響する要因 | 内容 |
|---|---|
| 遺伝的要因 | 股関節形成不全や心臓疾患などの遺伝的リスク |
| 体格による負担 | 巨体を支える心臓・関節への継続的な負荷 |
| 生活環境 | 適切な運動量、温度管理、ストレスの少ない環境 |
| 食事管理 | 肥満防止、関節サポート、消化器への配慮 |
| 定期健診 | 早期発見・早期治療による健康寿命の延伸 |
もちろん、日々のケアや健康管理で、生活の質(QOL)を高めることはできます。定期的な健診、適切な体重管理、関節に優しい生活環境。そうした積み重ねが、彼らの「幸せな時間」を一日でも長く守ることにつながります。
でも最も大切なのは、「いつか」ではなく「今日」を大切にすること。
ヨダレを拭いてあげること。名前を呼んであげること。「おはよう」「ただいま」と声をかけてあげること。その何気ない毎日の積み重ねこそが、セントバーナードにとっての最高の幸せなんです。
彼らは、未来を心配したり、過去を後悔したりしません。ただ「今」を、あなたと一緒に生きている。その姿から、私たちが学ぶべきことは、たくさんあります。
年齢ステージに合わせたお世話のポイント
セントバーナードの一生は、大きく3つのステージに分けられます。
それぞれの時期に合わせたお世話をしてあげることが、彼らの健康と幸せを守る鍵になります。
子犬期(0〜1歳)は、体が急激に成長する大切な時期。でも、ここで気をつけたいのが「運動のさせすぎ」。
500gだった赤ちゃんが1年で50kg、60kgになるわけですから、骨や関節がその成長スピードに追いつけないことがあります。
だから、この時期は「たくさん遊ばせる」よりも、あえて「ゆっくり過ごす」ことが、将来の関節を守るプレゼントになります。激しいジャンプや長時間の散歩は控えめに。床には滑り止めマットを敷いて、足腰への負担を減らしてあげましょう。
成犬期(2〜5歳)は、肉体的に最も充実した時期。適度な運動と、バランスの取れた食事で、健康な体を維持します。
ただし、セントバーナードは「胃捻転」という命に関わる病気のリスクが高い犬種。食後すぐの運動は絶対に避けて、食事のあとは90分ほどゆっくり休ませてあげることが大切です。
そしてシニア期(6歳〜)は、魂が最も近づく黄金の時間。
動きがゆっくりになり、白髪が増え、長い昼寝を楽しむようになります。でも、これは衰えではなく、彼らなりの「人生の味わい方」が変わっただけ。
| 年齢ステージ | お世話のポイント |
|---|---|
| 子犬期(0〜1歳) | 過度な運動を避ける。滑り止め対策。急成長期の栄養管理 |
| 成犬期(2〜5歳) | 適切な運動量。食後90分は安静に。体重管理の徹底 |
| シニア期(6歳〜) | 定期健診(半年に1回)。関節サポート。温度管理の徹底 |
シニア期に入ったら、定期健診を年2回に増やしましょう。血液検査や心臓のチェックで、病気の早期発見につながります。
階段の上り下りが辛そうなら、スロープを設置してあげる。寝床には関節に優しいマットを敷いてあげる。夏場のエアコンは24時間つけっぱなしに。
こうした小さな配慮の積み重ねが、彼らの「幸せな老後」を支えます。
年齢に合わせたお世話は、決して難しいことではありません。彼らの様子をよく観察して、「今、何が必要か」を感じ取ってあげること。それが、セントバーナードへの最高の愛情表現になります。
セントバーナードが気をつけたい5つの病気|サインに気づいて守ってあげるために

ここまで、セントバーナードの歴史や性格、そして寿命について一緒に見てきました。
彼らがどれだけ優しくて、賢くて、愛おしい存在か。もう、十分に伝わっていますよね。
でも、だからこそ。
「病気」という言葉を聞くと、どうしても不安になってしまう。「もしも、この子が苦しんだら…」そう考えるだけで、胸が締め付けられる気持ち、よくわかります。
ただ、ここで大切なのは、「知っておけば守れることもある」ということ。
病気の名前を聞いて怖がるのではなく、どんなサインに気をつければいいのか、どうすれば予防できるのかを知ることが、あなたにできる最大の愛情表現になります。
この先では、セントバーナードがかかりやすい5つの病気について、ひとつひとつ丁寧にお話ししていきます。
「どんな病気なのか」「どんなサインが出るのか」「どうやってケアすればいいのか」
病名の羅列で怖がらせるつもりは、まったくありません。むしろ、「これを知っていれば大丈夫」という安心のお守りを、一緒に作っていくイメージです。
セントバーナードの体の特徴を理解して、彼らが発する小さなSOSに気づいてあげられるようになること。
それが、あなたと愛犬の毎日を、もっと安心で、もっと幸せなものにしてくれます。
一緒に、セントバーナードの健康を守る知識を身につけていきましょう。
①胃拡張・胃捻転症候群(GDV)|食後の休息が命を守る
セントバーナードを飼う上で、最も注意が必要な病気。それが「胃拡張・胃捻転症候群(GDV)」です。
胃が急激にガスで膨らみ、そのままねじれてしまう状態。胃がねじれると血液の流れが止まり、数時間で命を落とすこともある緊急事態です。
セントバーナードのような胸の深い大型犬は、胃が体の中でぶら下がるような構造になっています。だから、食後に激しく動いたり、一度に大量の食事をしたりすると、胃がねじれやすくなります。
| 胃拡張・胃捻転の基本情報 | 内容 |
|---|---|
| どんな病気か | 胃がガスで膨張し、ねじれて血流が止まる |
| 緊急度 | 非常に高い(数時間以内の治療が必要) |
| 好発犬種 | 胸の深い大型犬(セントバーナード、グレートデンなど) |
| 予防の鍵 | 食後90分は安静に。早食い防止。 |
この病気で大切なのは、早く気づくことと日々の予防。
それでは、具体的にどんな症状が出るのか、そしてどうやって予防すればいいのか、詳しく見ていきましょう。
胃拡張・胃捻転症候群の症状とサイン
セントバーナードが胃拡張・胃捻転を起こしたとき、体は必死にSOSを発信します。
この病気は進行が非常に速いため、飼い主さんが「おかしいな」と気づいた時点で、すでに危険な状態になっていることも。だからこそ、症状を正しく知っておくことが大切です。
最も特徴的なのは、お腹が急激に膨れてパンパンになること。触ると太鼓のように硬く張っています。
そして、吐こうとする動作を繰り返すのに、何も出てこない。これは胃がねじれて、内容物が出られなくなっているサインです。
落ち着きなくウロウロ歩き回ったり、呼吸が荒くなったり、よだれを大量に垂らしたりする様子も見られます。いつもと明らかに違う苦しそうな様子に気づいたら、一刻も早く病院へ。
| 見逃せない症状 | 具体的なサイン |
|---|---|
| お腹の膨張 | 急激にお腹が膨らみ、触ると硬い(太鼓状) |
| 嘔吐動作 | 吐こうとするが何も出ない、空えずきを繰り返す |
| 落ち着きのなさ | そわそわと歩き回る、横になれない |
| 呼吸の異常 | 浅く速い呼吸、苦しそうな様子 |
| よだれの増加 | 大量のよだれを垂らす |
| ぐったりする | 急激に元気がなくなる、立てなくなる |
夜中でも、休日でも、迷わず救急病院へ。「様子を見よう」は命取りになります。
胃拡張・胃捻転症候群の治療と予防の工夫
もしセントバーナードが胃拡張・胃捻転を起こしてしまったら、緊急手術が必要になります。
胃の中にたまったガスを抜き、ねじれた胃を元に戻す手術。そして、再発を防ぐために胃を固定する処置も行われます。
手術が成功しても、胃がねじれていた時間が長いと、胃の組織が壊死していることもあり、予断を許さない状態が続きます。
だからこそ、「ならないようにする」ことが何より大切。
| 予防のポイント | 具体的な方法 |
|---|---|
| 食後の安静 | 食後90分は絶対に運動させない。静かに休ませる |
| 早食い防止 | 早食い防止食器を使う、食事を2〜3回に分ける |
| 水の飲ませ方 | 一気に大量に飲ませない。少しずつゆっくりと |
| 食後の水分制限 | 食後すぐに大量の水を飲ませない |
| ストレス軽減 | 食事中は静かな環境で、落ち着いて食べさせる |
| 食器の高さ | 高すぎる食器台は避ける(空気を飲み込みやすい) |
特に大切なのが、「食後はシエスタ(お昼寝)」という習慣。
散歩は食事の前に済ませる。ごはんを食べたら、そのままゆっくり休む時間を作ってあげる。この習慣が、愛犬の命を守る最大の防御になります。
家族みんなで「食後は遊ばない」「食後は静かに」というルールを共有しましょう。来客があっても、子供が遊びたがっても、食後の90分だけは、セントバーナードのための神聖な休息時間。
この小さな習慣の積み重ねが、大きな安心につながります。
②股関節形成不全|成長期のスローダウンが最大のケア
セントバーナードのような超大型犬にとって、もうひとつ気をつけたいのが「股関節形成不全」です。
これは、急激な成長に骨と筋肉のバランスが追いつかず、股関節がうまく噛み合わなくなってしまう病気。遺伝的な要因もありますが、子犬の頃の過ごし方で予防できる部分も大きいものです。
500gだった赤ちゃんが1年で50kg、60kgになる。その驚異的な成長スピードに、関節の発達が追いつけない。それが、この病気の根本的な原因です。
| 股関節形成不全の基本情報 | 内容 |
|---|---|
| どんな病気か | 股関節の発育不全により、骨盤と大腿骨がうまく噛み合わない |
| 発症時期 | 子犬期〜若い成犬期(症状は徐々に現れる) |
| 主な原因 | 遺伝的要因+急激な成長+過度な運動 |
| 予防の鍵 | 成長期の運動制限、体重管理、滑らない床 |
この病気の怖さは、初期には気づきにくいこと。
子犬の頃は元気いっぱいで、少し歩き方がおかしくても「まだ不器用だから」と見過ごしてしまいがち。でも、放っておくと関節の変形が進み、痛みで歩けなくなることもあります。
それでは、どんなサインに気をつければいいのか、そしてどうすれば予防できるのか、詳しく見ていきましょう。
股関節形成不全の症状とサイン
セントバーナードが股関節形成不全になると、最初は「なんとなく歩き方が変」という程度の小さなサインから始まります。
特徴的なのが「モンローウォーク」と呼ばれる、腰を左右に振るような歩き方。お尻を振りながら歩く姿は、一見すると可愛らしく見えることもありますが、実は関節に痛みがあるサインかもしれません。
散歩を嫌がるようになったり、座るときにゆっくり腰を下ろしたり、階段の上り下りを避けるようになったら要注意。朝起きたときや、長時間休んだあとに動き出しが固いのも、関節に問題がある可能性があります。
後ろ足を揃えて「ウサギ跳び」のように走る子もいます。これは、痛みのある股関節への負担を減らそうとする体の防御反応です。
| 見逃せない症状 | 具体的なサイン |
|---|---|
| 歩き方の異常 | 腰を振って歩く(モンローウォーク)、足を引きずる |
| 活動量の低下 | 散歩を嫌がる、遊びたがらない、すぐ座りたがる |
| 動作の変化 | 立ち上がりに時間がかかる、階段を避ける |
| 走り方の異常 | 後ろ足を揃えて「ウサギ跳び」のように走る |
| 筋肉の変化 | 後ろ足の筋肉が細くなる(使わないため) |
| 朝の硬さ | 起きてすぐの動きが固い、時間がたつと改善 |
「まだ子犬だから」「そのうち治る」と思いがちですが、早期発見が何より大切。気になる様子があれば、動物病院でレントゲン検査を受けましょう。
股関節形成不全の治療と暮らしの工夫
股関節形成不全の治療は、症状の程度によって変わります。
軽度であれば、体重管理と適度な運動、そして関節をサポートするサプリメントで様子を見ることもあります。痛みが強い場合は、鎮痛剤や抗炎症薬で痛みをコントロールします。
重度の場合は、手術という選択肢も。人工股関節置換術や、骨盤の角度を変える手術など、いくつかの方法があります。
でも、何より大切なのは「ならないようにする」予防です。
| 予防と暮らしの工夫 | 具体的な方法 |
|---|---|
| 成長期の運動制限 | 1歳まで激しい運動は避ける。ジャンプ、階段禁止 |
| 床の滑り止め対策 | コルクマット、カーペット、滑り止めワックスを使用 |
| 適正体重の維持 | 太らせない。関節への負担を最小限に |
| 関節サポートサプリ | グルコサミン、コンドロイチン配合フードの活用 |
| 適度な運動 | 水泳など関節に優しい運動で筋肉を維持 |
| 温めるケア | 冬場は温めて血行を良くする |
特に子犬の頃が肝心です。「元気だから」とたくさん遊ばせるのではなく、あえてゆっくり過ごさせる。
フリスビーやアジリティのような激しい運動は、最低でも1歳半まで待ちましょう。階段の上り下りも、できるだけ避けて。ソファやベッドからの飛び降りも、関節には大きな衝撃になります。
床には必ず滑り止めマットを敷いてください。フローリングの上で滑りながら歩くことは、毎日少しずつ関節を壊していくようなもの。これは、セントバーナードを迎えたその日からできる、最も効果的な予防策です。
「過保護すぎるかな?」と思うくらいでちょうどいい。子犬の頃の「ゆっくり」が、大人になってからの「元気」を作ります。
③骨肉腫|ただの捻挫かな?を見逃さないで
セントバーナードのような大型犬が気をつけたい病気の中で、最も進行が速く、深刻なのが「骨肉腫」です。
これは骨にできる癌で、特に足の骨(前足が多い)に発生しやすいもの。痛みを伴い、進行が非常に速いため、早期発見が何より大切になります。
怖いのは、最初の症状が「ちょっと足を痛めたかな?」という程度に見えること。散歩中に軽く足を引きずっていたり、足をかばうように歩いていたりする様子を、つい「捻挫かな」「打撲かな」と軽く考えてしまいがち。
でも、骨肉腫は数週間で急速に進行します。気づいたときには肺に転移していることも少なくありません。
| 骨肉腫の基本情報 | 内容 |
|---|---|
| どんな病気か | 骨にできる悪性腫瘍(癌)。進行が非常に速い |
| 好発部位 | 前足の骨(肩に近い部分)、後ろ足の骨 |
| 好発年齢 | 中年〜高齢(6歳以上に多い) |
| 転移しやすい場所 | 肺(初期診断時に10%程度がすでに転移) |
| 予防の鍵 | 早期発見。足の痛みを軽視しない |
「ただの捻挫」と「骨肉腫」を見分けるのは、飼い主さんには難しいもの。だからこそ、足を引きずる様子が2〜3日続いたら、迷わず病院へ。
それでは、具体的にどんなサインに気をつければいいのか、そして診断されたらどう向き合えばいいのか、見ていきましょう。
骨肉腫の症状とサイン
セントバーナードが骨肉腫になったとき、最初のサインは足の痛みです。
ある日突然、足を引きずるようになる。患部を触ると痛がる。階段の上り下りを嫌がる。そんな様子が見られたら、注意深く観察してください。
捻挫や打撲なら、数日安静にしていれば改善するはず。でも、骨肉腫の場合は日に日に痛みが強くなり、やがて足を地面につけられなくなります。
患部が腫れてくることもあります。前足の肩に近い部分や、後ろ足の膝の周辺が、ぽっこりと膨らんでいたら要注意。骨が破壊されて、腫瘍が大きくなっているサインかもしれません。
| 見逃せない症状 | 具体的なサイン |
|---|---|
| 足の痛み | 急に足を引きずる、患部を触ると痛がる |
| 跛行の悪化 | 日に日に痛みが強くなり、足をつけなくなる |
| 腫れ | 足の一部が腫れる、熱を持つ |
| 元気の低下 | 散歩を嫌がる、じっとしている時間が増える |
| 食欲の低下 | 痛みのストレスで食事量が減る |
| 骨折 | 腫瘍で骨が弱り、わずかな衝撃で折れることも |
「2〜3日様子を見て、治らなかったら病院へ」。これが、早期発見の鉄則です。
レントゲン検査で骨の様子を確認し、必要であればCT検査や組織検査(バイオプシー)を行います。肺への転移がないかも、同時にチェックします。
骨肉腫の治療と向き合い方
骨肉腫と診断されたとき、多くの飼い主さんが大きなショックを受けます。
標準的な治療は、痛みのある足を切断する手術と、その後の抗がん剤治療。足を失うことへの抵抗は当然ですが、セントバーナードは驚くほど適応力が高く、3本足でも元気に歩き、走ります。
切断手術により痛みから解放され、抗がん剤で転移を抑える。この治療で、生存期間の中央値は約1年と言われています。何もしなければ数ヶ月のところを、痛みのない穏やかな時間を延ばせる可能性があります。
手術を選択しない場合は、痛みのコントロールが中心になります。鎮痛剤や放射線治療で痛みを和らげ、できるだけ快適に過ごせるようサポートします。
| 治療の選択肢 | 内容 |
|---|---|
| 切断手術+抗がん剤 | 標準治療。痛みを取り除き、転移を抑える |
| 放射線治療 | 手術しない場合の痛みの緩和 |
| 痛み止め(緩和ケア) | 鎮痛剤で痛みをコントロールし、QOLを保つ |
| 骨温存手術 | 一部の施設で可能。足を残す選択肢 |
どの治療を選ぶかは、愛犬の年齢や体力、そして家族の価値観によって変わります。正解はひとつではありません。
大切なのは、獣医師とよく話し合い、納得のいく選択をすること。そして、どの道を選んでも、残された時間を後悔なく、愛情いっぱいに過ごすこと。
骨肉腫は確かに厳しい病気です。でも、診断されてからの日々も、かけがえのない宝物。痛みから解放されたセントバーナードが、あなたのそばで穏やかに過ごせる時間を、一日でも長く作ってあげてください。
「もっと早く気づいてあげれば」と自分を責める必要はありません。今、この瞬間から、できる限りのことをしてあげる。それが、愛犬への最高のサポートです。
④拡張型心筋症(DCM)|疲れやすさは心臓からのサインかも
セントバーナードのような大型犬は、心臓にも大きな負担がかかります。
その中で気をつけたいのが「拡張型心筋症(DCM)」。心臓の筋肉が薄く伸びてしまい、血液を送り出すポンプの力が弱くなってしまう病気です。
巨大な体を支えるために、心臓は毎日フル稼働。その負担が積み重なって、心臓の筋肉が疲れ果ててしまうイメージです。
この病気の怖いところは、初期には目立った症状がないこと。気づいたときには、すでに心不全が進行していることも少なくありません。
| 拡張型心筋症の基本情報 | 内容 |
|---|---|
| どんな病気か | 心臓の筋肉が薄く伸び、ポンプ機能が低下する |
| 好発年齢 | 中年〜高齢(4歳〜8歳に多い) |
| 進行 | ゆっくり進行するが、症状が出ると急激に悪化することも |
| 主な症状 | 疲れやすい、咳、呼吸困難、失神 |
| 予防の鍵 | 定期的な心臓検査(エコー)、栄養管理、運動制限 |
「なんだか最近、散歩ですぐ疲れるな」「咳が出るようになったな」。
そんな小さな変化が、実は心臓からのSOSかもしれません。それでは、具体的にどんなサインに気をつければいいのか、見ていきましょう。
拡張型心筋症の症状とサイン
セントバーナードが拡張型心筋症になると、最初は「なんとなく元気がない」という程度の変化から始まります。
以前は喜んで散歩に行っていたのに、最近は途中で立ち止まることが増えた。すぐに疲れて、座り込んでしまう。こんな様子が見られたら、心臓の問題を疑ってみる必要があります。
特徴的なのが「咳」。夜中や明け方に、「カハッ、カハッ」と乾いた咳をする。これは、心臓が大きくなって気管を圧迫しているサインかもしれません。
呼吸が荒くなったり、舌の色が紫がかったり(チアノーゼ)、突然倒れて失神したりすることもあります。これらは心不全がかなり進行した状態。すぐに病院へ連れて行ってください。
| 見逃せない症状 | 具体的なサイン |
|---|---|
| 疲れやすさ | 散歩の途中で立ち止まる、すぐ座りたがる |
| 咳 | 夜中や明け方に乾いた咳をする(運動後に悪化) |
| 呼吸の異常 | 浅く速い呼吸、舌が紫色になる |
| 失神 | 突然倒れる、意識を失う |
| 腹部の膨満 | お腹に水が溜まって膨れる(腹水) |
| 元気の低下 | 寝ている時間が増える、動きたがらない |
初期症状は見逃しやすいため、定期的な健康診断が大切。特に5歳を過ぎたら、年に一度は心臓のエコー検査を受けることをおすすめします。
拡張型心筋症の治療と生活のポイント
拡張型心筋症は、残念ながら完治させることはできません。でも、適切な治療で症状をコントロールし、生活の質を保つことは可能です。
治療の中心は、お薬。心臓の負担を減らす薬、血液の循環を良くする薬、不整脈を抑える薬など、症状に合わせて組み合わせます。
そして、生活環境を整えることも大切。心臓に優しい暮らしを作ってあげることで、進行を遅らせることができます。
| 治療と生活のポイント | 内容 |
|---|---|
| 投薬治療 | 心臓の負担軽減、利尿剤、不整脈コントロール |
| 運動制限 | 激しい運動は避ける。穏やかな散歩程度に |
| 塩分制限 | 心臓への負担を減らすため、塩分控えめの食事 |
| 栄養管理 | タウリン、カルニチン配合の心臓サポートフード |
| 温度管理 | 暑さは心臓に負担。夏場は涼しく保つ |
| ストレス軽減 | 興奮させない、穏やかな環境を作る |
特に注意したいのが、夏場の管理。暑さは心臓に大きな負担をかけます。エアコンは24時間つけっぱなしにして、涼しい環境を保ってあげてください。
散歩も、涼しい時間帯(早朝や夕方以降)に短時間で。「もっと歩きたそう」と思っても、無理は禁物。心臓の負担を最小限に抑えることが、長く一緒にいるための秘訣です。
定期的な通院も欠かせません。症状が安定していても、月に一度は病院でチェックを受けましょう。薬の調整や、病状の変化を早期に見つけることができます。
診断されたからといって、すぐに絶望する必要はありません。適切な治療と環境づくりで、穏やかな日々を過ごせる時間は十分にあります。
心臓に優しい暮らしを作ってあげながら、セントバーナードとの一日一日を、大切に積み重ねていきましょう。
⑤熱中症|日本の夏は涼しいお部屋で快適に
セントバーナードにとって、日本の夏は命に関わる危険な季節です。
アルプスの涼しい山で育った彼らの体は、厚いダブルコートに覆われ、寒さには抜群の強さを発揮します。でも、高温多湿の日本の夏は、まるでサウナの中にいるようなもの。
人間なら「暑いな」と感じる程度の気温でも、セントバーナードにとっては生死に関わる暑さになることがあります。
熱中症は予防できる病気です。でも、一度発症すると、急速に悪化して命を落とすこともある怖い病気でもあります。
| 熱中症の基本情報 | 内容 |
|---|---|
| どんな病気か | 体温調節ができなくなり、臓器がダメージを受ける |
| 危険な時期 | 5月〜9月(特に梅雨明け〜8月が最も危険) |
| 危険な場所 | 締め切った車内、日向、風通しの悪い室内 |
| 致死率 | 適切な処置がないと50%以上が死亡 |
| 予防の鍵 | エアコン24時間稼働、散歩時間の工夫、水分補給 |
「エアコンをつけっぱなしにするのはもったいない」と感じるかもしれません。でも、セントバーナードにとって、夏のエアコンは贅沢ではなく、命を守るための必要経費。
それでは、どんなサインに気をつければいいのか、そして夏をどう乗り切るか、見ていきましょう。
熱中症の症状とサイン
セントバーナードが熱中症になると、体温が急激に上昇し、短時間で命に関わる状態になります。
最初のサインは、激しいハアハアという呼吸(パンティング)。口を大きく開けて、舌を長く出し、よだれを大量に垂らします。これは体温を下げようとする必死の反応です。
でも、症状が進むと、よだれがネバネバになり、舌や歯茎が赤紫色になってきます。これは体が限界を超えたサイン。ふらふらと歩き、やがて立てなくなり、意識を失います。
嘔吐や下痢(時に血便)、痙攣なども起こります。ここまで来ると、一刻を争う緊急事態。すぐに体を冷やしながら、病院へ急いでください。
| 見逃せない症状 | 具体的なサイン |
|---|---|
| 激しいパンティング | 口を大きく開け、舌を長く出して激しく呼吸する |
| よだれの異常 | 大量のよだれ、ネバネバしたよだれ |
| 舌や歯茎の変色 | 赤紫色、青紫色になる(チアノーゼ) |
| ふらつき | まっすぐ歩けない、倒れる |
| 意識障害 | 呼びかけに反応しない、ぐったりする |
| 嘔吐・下痢 | 吐く、血便が出る |
| 痙攣 | 体が震える、硬直する |
もし熱中症の症状が出たら、すぐに涼しい場所へ移動。水道水をかけたり、濡れタオルで体を包んだりして体温を下げます。ただし、氷水は逆効果。急激に冷やすと血管が収縮して、かえって体温が下がりにくくなります。
首、脇の下、内股など、太い血管が通っている場所を重点的に冷やしましょう。そして、一刻も早く動物病院へ。
熱中症の予防と夏の過ごし方
熱中症は、予防こそが最も確実な治療です。セントバーナードとの夏の暮らしは、「涼しさ」が何より優先されます。
まず、室内の温度管理。エアコンは5月から9月まで、24時間つけっぱなしが基本。設定温度は20〜23度を理想とし、25度を上限と考えましょう。湿度も50〜60%に保ちます。「電気代がもったいない」と思うかもしれませんが、これは命を守るための必要経費です。
散歩の時間も工夫が必要。日中の散歩は絶対に避けて、早朝(日の出前)か、夜(日没後、アスファルトが冷めてから)に。アスファルトの温度を手で確認して、熱くなければOK。
| 予防と夏の過ごし方 | 具体的な方法 |
|---|---|
| エアコン24時間稼働 | 設定温度20〜23度(上限25度)、湿度50〜60%を維持 |
| 散歩時間の厳守 | 早朝(日の出前)か夜(路面が冷めてから)のみ |
| 水分補給 | 新鮮な水をいつでも飲めるように複数箇所に設置 |
| 冷却グッズ活用 | ひんやりマット、凍らせたペットボトル |
| 車内放置厳禁 | 「ちょっとだけ」でも絶対にNG |
| ブラッシング | 余分な下毛を取り除き、通気性を確保 |
| プール・水遊び | 庭やベランダでの水遊びで体温調節 |
水分補給も大切。家の中に水飲み場を複数設置して、いつでも新鮮な水が飲めるようにしましょう。氷を入れてあげるのもおすすめです。
ひんやりマットや、凍らせたペットボトルをタオルで巻いたものを置いてあげるのも効果的。自分で涼しい場所を選べるように、暑い場所と涼しい場所を用意してあげてください。
そして絶対に守ってほしいのが、車内に置き去りにしないこと。「ちょっとコンビニに寄るだけ」「窓を少し開けておけば大丈夫」は通用しません。真夏の車内は、数分で50度を超えます。
換毛期には、こまめなブラッシングで余分な下毛を取り除いてあげましょう。通気性が良くなり、少しでも涼しく過ごせます。
セントバーナードにとって、夏は試練の季節。でも、飼い主さんの知識と配慮があれば、安全に乗り越えられます。愛犬のために、涼しく快適な環境を整えてあげてください。
セントバーナードと過ごす今を大切に 愛に満ちた毎日を

ここまで、セントバーナードの病気や健康管理について、たくさんのことをお伝えしてきました。
もしかしたら、読み進めながら不安になってしまったかもしれませんね。
「こんなに気をつけることがあるのか…」 「ちゃんと守ってあげられるかな…」
そんな風に感じているあなたに、最後に伝えたいことがあります。
セントバーナードとの暮らしは、確かに大変なこともあります。ヨダレを拭いて、床に滑り止めマットを敷いて、夏はエアコンをつけっぱなしにして。食後は必ず休ませて、散歩の時間も工夫して。
でも、そのひとつひとつの小さなお世話が、実は彼らへの「愛してる」のメッセージになっているんです。
あなたがヨダレを拭いてあげる、その優しい手。 あなたが名前を呼んであげる、その温かい声。 あなたがそばにいてくれる、そのかけがえのない時間。
セントバーナードは、そのすべてをちゃんと感じ取っています。
彼らは、私たちが思っている以上に、たくさんのことを教えてくれます。
無償の愛。無条件の信頼。そして、「今、この瞬間」を生きることの尊さ。
寿命が短いからこそ、1日1日が輝いている。限られた時間だからこそ、一緒に過ごす瞬間が、こんなにも愛おしい。
もし、愛犬の体調に不安を感じたとき。 もし、病気のサインに気づいたとき。 もし、どうしたらいいか迷ったとき。
一人で抱え込まないでください。
獣医さんに相談してください。そして、私たちペッツメイトにも、いつでも声をかけてください。
あなたとセントバーナードが、安心して、幸せに暮らせるように。私たちは、いつでもそばにいます。
大きな体に、大きな優しさを持った彼ら。 あなたのそばで、静かに、でも確かに、愛を伝えてくれる彼ら。
その温かさを、今日も、明日も、大切に感じながら。
セントバーナードとの毎日が、愛に満ちた時間でありますように。
ペッツメイトは、あなたとペットの「もうひとつの家族の場所」でありたいと願っています。
困ったとき、嬉しいとき、不安なとき。どんなときでも、気軽に立ち寄れる場所として。
私たちは、命を大切に想うあなたの気持ちに、いつでも寄り添います。