マルチーズの寿命と病気の基礎知識|長く一緒に暮らすための見守り習慣

白くてふわふわの被毛、くりくりとした瞳。マルチーズは、そのかわいらしい見た目と人懐っこい性格で、家族の一員として多くの方に愛されてきました。一緒に過ごす毎日の中で、ふと「この子とどれくらい一緒にいられるのだろう」「どんな病気に気をつければいいんだろう」と考えることは、愛犬を想う飼い主さんなら誰もが通る道です。

マルチーズの平均寿命は12〜15歳ほどと言われていますが、実際には生活環境や体質、日々のケアによって大きく変わってきます。また、小型犬ならではの関節や呼吸器のトラブル、目や耳のケアなど、知っておくと安心できることがいくつかあります。「病気」という言葉を聞くと不安になるかもしれませんが、サインを早めに見つけて、無理のない範囲でケアを続けていくことで、愛犬との時間をより穏やかに、より長く楽しむことができるのです。

この記事では、マルチーズの寿命や年齢ごとのお世話のポイント、かかりやすい代表的な病気とそのサイン、そして毎日の暮らしで気をつけたいことを、やさしい言葉でお伝えしていきます。数字や症状にとらわれすぎず、「今日からできること」を一つずつ見つけていく。そんな前向きな気持ちで、ぜひ読み進めてみてください。

あなたと愛犬マルチーズが長く一緒に、同じ時を歩めますように。そして、楽しい時間がずっと続けられますように。その願いを込めて、この記事をお届けします。

マルチーズの基礎知識|人に寄りそう性格と白い被毛、愛されてきた背景

マルチーズを家族に迎えようと考えている方、あるいはすでに一緒に暮らしている方にとって、この子がどんな性格で、どんな体の特徴を持っているのかを知ることは、日々のお世話や健康管理をより自然に、無理なく続けていくための第一歩です。

マルチーズは、明るく陽気で遊び好き。飼い主さんに対してはとても甘えん坊で、人懐っこく素直な性格を持っています。長い歴史の中で愛玩犬として人のそばで暮らしてきたため、人に寄り添うことが得意な一方で、繊細で神経質な一面も持ち合わせています。見知らぬ人や環境の変化には少し警戒することもありますが、それは「家族を大切に想う気持ち」の裏返しとも言えるでしょう。

体は小柄で、成犬の体高は20〜25cm、体重は2.5〜4kg程度。純白のシングルコートは絹糸のような光沢があり、まるで貴族のような気品を感じさせます。その美しい被毛を保つには、定期的なブラッシングや適切なトリミングが欠かせませんが、毎日少しずつ続けることで、愛犬とのスキンシップの時間にもなります。

マルチーズの名前は、地中海のマルタ島に由来します。紀元前1500年頃までさかのぼる古い歴史を持ち、19世紀にはイギリス王室に献上され、ヴィクトリア女王をはじめ多くの王族や貴族に愛されたことから「犬界の貴族」とも呼ばれるようになりました。こうした背景が、現在のマルチーズの穏やかで人懐っこい性格につながっているのかもしれません。

次のセクションからは、性格や体の特徴、そして歴史について、もう少し詳しく見ていきましょう。焦らず、一つひとつ理解を深めていくことで、愛犬との暮らしがより安心で楽しいものになっていきます。

マルチーズの性格の傾向と暮らしのポイント

マルチーズと暮らす上で、まず知っておきたいのが性格の傾向です。この子たちがどんな気持ちで日々を過ごしているのかを理解することで、無理のない接し方や環境づくりのヒントが見えてきます。

マルチーズは人が大好きで、飼い主さんのそばにいることに安心を感じます。甘えん坊で素直な性格は、一緒にいる時間をとても豊かにしてくれますが、その反面、少し繊細で神経質な一面もあります。たとえば、来客時や見知らぬ場所では緊張して吠えたり、環境の変化にストレスを感じたりすることもあります。それは「怖がり」というよりも、「家族を守ろうとする気持ち」や「慣れない状況への戸惑い」の表れです。

性格の特徴暮らしで気をつけたいこと
人懐っこく甘えん坊たくさんのスキンシップと声かけで安心感を与える。
明るく遊び好き適度な運動と遊びの時間を毎日確保する。
繊細で神経質な一面環境変化は少しずつ、無理なく慣らす。
見知らぬ人に警戒しやすい来客時は無理に近づけず、落ち着ける場所を用意する。
飼い主に素直で従順ほめて伸ばす接し方が効果的。

日々の暮らしでは、ほめて伸ばす接し方がとても効果的です。マルチーズは飼い主さんの気持ちに敏感なので、できたことをたくさんほめてあげると、自信を持って行動できるようになります。逆に、叱りすぎたり大きな声を出したりすると、怖がってしまい、かえって問題行動につながることもあります。

また、お留守番が長くなる場合や、家族以外の人と過ごす機会が多い場合は、少しずつ慣らしていくことが大切です。急な変化は不安を感じやすいので、「今日は少しだけ離れてみる」「次は少し長めに」といったように、段階を踏んであげると安心できます。

マルチーズとの暮らしは、この子の気持ちに寄り添いながら、無理のないペースで信頼関係を築いていくことが何よりも大切です。焦らず、毎日の小さな積み重ねを楽しんでいきましょう。

マルチーズの体の特徴とサイズ、被毛ケアのポイント

マルチーズの体の特徴を知っておくことは、日々のケアや健康管理をスムーズに進めるための大切な手がかりになります。小柄で華奢な体つきと、美しい白い被毛。その特徴に合わせたお世話のポイントを、無理なく続けられる形で押さえていきましょう。

マルチーズの成犬は、体高がオス21〜25cm・メス20〜23cm、体重は3〜4kg程度の小型犬です。ただし個体差があり、2kg台の小柄な子や4kgを超える子もいます。手のひらに乗るほど小さな子犬の頃から、少しずつ成長していく姿を見守るのも楽しみの一つです。体が小さいぶん、ちょっとした段差や滑りやすい床でも関節に負担がかかりやすいため、生活環境の工夫が大切にです。

項目特徴と目安
体高オス21〜25cm、メス20〜23cm
体重3〜4kg程度(個体差により2kg台や4kg超も)
被毛の色純白が望ましい(淡いアイボリーも許容)
被毛の質感絹糸のような光沢のある直毛、シングルコート
抜け毛少なめだが、毛玉ができやすい

▶︎参考【JKC-ジャパンケネルクラブ】マルチーズ

マルチーズの最大の特徴とも言えるのが、純白で絹のような美しい被毛です。シングルコートのため抜け毛は比較的少ないのですが、その反面、毛が絡まりやすく毛玉ができやすい性質があります。放っておくと皮膚トラブルの原因にもなるため、毎日のブラッシングが欠かせません。

ブラッシングは、長めのフルコートスタイルなら毎日1回、短めのカットスタイルでも2〜3日に1回は行いたいところです。最初は短い時間でも大丈夫。愛犬が嫌がらない範囲で、少しずつ慣らしていきましょう。耳の後ろや脇の下、お腹周りは特に毛玉ができやすい場所なので、やさしく丁寧にとかしてあげてください。ブラッシングの時間は、愛犬とのスキンシップの時間でもあります。声をかけながら、体のどこかに変化がないかを確認する習慣にもなります。

また、定期的なトリミングも必要です。マルチーズの被毛は伸び続けるため、月に1回程度のペースでトリミングサロンに通うのが一般的です。目の周りや足裏の毛は特に伸びやすく、視界を妨げたり滑りやすくなったりするので、こまめにカットしてあげると安心です。

体が小さく、被毛のケアが必要なマルチーズですが、毎日の少しの手間を積み重ねることで、健康で美しい姿を保つことができます。無理せず、できることから始めていきましょう。

マルチーズの歴史と名前の由来

マルチーズという名前を聞いたとき、どこか上品で優雅な響きを感じる方も多いのではないでしょうか。その印象は、この犬種が歩んできた長い歴史と深く結びついています。マルチーズのルーツを知ることで、今目の前にいる愛犬の性格や特徴にも、少し違った見方ができるかもしれません。

マルチーズの名前は、地中海に浮かぶマルタ島に由来するという説が一般的です。ただ、港を意味するセム語「málat」に由来するという説もあり、必ずしもマルタ島が起源という意味ではないとも言われています。いずれにしても、紀元前1500年頃までさかのぼる非常に古い歴史を持ち、地中海の貿易中継地であったマルタ島に、フェニキア人の水夫が連れてきたアジア由来の小型犬がマルチーズの祖先と考えられています。

時代出来事と背景
紀元前1500年頃マルタ島にアジア由来の小型犬が持ち込まれる
古代ローマ時代貴族や上流階級の愛玩犬として珍重される
1813年マルタ島がイギリス領となり、イギリス王室へ献上される
19世紀後半ヴィクトリア女王をはじめ王族や貴族に愛される
現代世界中で家庭犬として愛され、「犬界の貴族」と呼ばれる

古代ローマ時代には、すでに貴族や上流階級の愛玩犬として珍重されていました。小さな体と美しい被毛、そして人に寄り添う穏やかな性格は、当時から多くの人々を魅了してきたのです。

1813年にマルタ島がイギリス領となった際、マルチーズはイギリス王室に献上されました。ヴィクトリア女王をはじめとする王族や貴族たちに深く愛されたことで、「犬界の貴族」という呼び名が定着しました。この華やかな歴史が、現在のマルチーズの気品ある佇まいや、人を喜ばせることが得意な性格につながっているのかもしれません。

長い年月をかけて人のそばで暮らし、愛されてきたマルチーズ。その歴史を知ると、今この瞬間、あなたのそばにいる愛犬との時間が、もっと特別なものに感じられるのではないでしょうか。

マルチーズの寿命と年齢別の気をつけたいこと

マルチーズと暮らしている方なら、一度は「この子とどれくらい一緒にいられるのだろう」と考えたことがあるかもしれません。寿命という言葉は少し重く感じるかもしれませんが、年齢ごとに必要なケアを知っておくことは、愛犬との時間をより穏やかに、より安心して過ごすための第一歩です。

マルチーズの平均寿命は12〜15歳ほどで、より詳しい統計では13〜14歳程度とされています。ただし、これはあくまで目安です。実際には、日々の食事や運動、生活環境、そして飼い主さんとの信頼関係によって大きく変わってきます。同じマルチーズでも、10歳を超えても元気いっぱいの子もいれば、7歳頃から少しずつ体調に変化が見られる子もいます。大切なのは、数字にとらわれすぎず、今目の前にいる愛犬の様子をていねいに見守ることです。

小型犬であるマルチーズは、大型犬に比べて寿命が長い傾向にあります。これは、体が小さいため臓器への負担が少なく、成長ホルモンの分泌量が異なるなど、複数の要因により細胞の老化スピードが穏やかだからと考えられています。ただし、小型犬ならではの注意点もあります。関節や気管への負担、歯のトラブル、目や耳のケアなど、体が小さいからこそ気をつけたいポイントがいくつかあるのです。

また、マルチーズは7歳頃からシニア期に入ると言われています。人間の年齢に換算すると、7歳で約44歳、10歳で約56歳にあたります。この時期からは体の変化が出やすくなるため、それまで以上にていねいな観察と、無理のないケアが大切です。

次のセクションでは、寿命の目安や人間年齢への換算、そして年齢別のお世話のポイントを具体的に見ていきましょう。焦らず、できることから一つずつ。愛犬との毎日を、少しでも長く、楽しく過ごすためのヒントを一緒に探していきましょう。

マルチーズの寿命と人間年齢換算の目安

愛犬が今何歳で、人間に換算するとどれくらいの年齢なのかを知ることは、その時期に合ったケアを考える上でとても役立ちます。マルチーズの1年は、人間の1年とは違うスピードで進んでいきます。年齢ごとの目安を知っておくことで、「そろそろこんなケアが必要かな」と、前もって準備する心の余裕も生まれてくるでしょう。

小型犬であるマルチーズは、生後1年で人間の約15歳、2歳で約24歳に相当すると言われています。その後は、1年ごとに人間の約4歳ずつ年を重ねていくイメージです。

マルチーズの年齢人間年齢の目安
1歳約15歳
2歳約24歳
5歳約36歳
7歳約44歳(シニア期の入り口)
10歳約56歳
15歳約76歳

この換算表を見ると、7歳というのは人間で言えば40代半ば。体力や体調に少しずつ変化が出始める時期であることが想像しやすくなります。また、10歳を超えると人間の50代後半から60代にあたるため、定期的な健康チェックや、生活環境の見直しがより大切になってくることもわかります。

ただし、これはあくまで一般的な目安です。同じ7歳でも、まだまだ若々しく走り回る子もいれば、少し落ち着いて過ごすことが増える子もいます。大切なのは、数字だけで判断せず、愛犬の日々の様子をよく観察することです。食欲や睡眠時間、遊びへの関心、歩き方や呼吸の様子など、小さな変化に気づいてあげることが、長く健康に過ごすための第一歩です。

人間年齢への換算は、「今この子はどんな時期を過ごしているのか」を理解するための、やさしい手がかりの一つ。愛犬の年齢に合わせたケアを、焦らず無理なく取り入れていきましょう。

マルチーズの寿命の基礎知識

マルチーズの寿命について知っておくことは、愛犬との暮らしをより大切に、より安心して楽しむための土台作りです。平均的な寿命の目安を理解しておくことで、年齢に応じたケアの方向性が見えてきます。ただし、数字はあくまで参考程度に。目の前にいる愛犬の個性や体質を一番よく知っているのは、毎日一緒に過ごしている飼い主さん自身です。

マルチーズの平均寿命は12〜15歳ほどで、統計によっては13〜14歳程度とされています。これは小型犬としてはほぼ標準的な寿命です。ただし、この数字には大きな幅があり、生活環境や食事の質、運動習慣、体質、そして日々のケアで変わってくることが多いと言われています。

サイズ分類平均寿命の目安
超小型犬約10〜15歳
小型犬(マルチーズを含む)約10〜15歳
中型犬約10〜13歳
大型犬約10〜12歳
超大型犬約8〜10歳

表を見ると、体が小さい犬種ほど寿命が長い傾向があることがわかります。寿命の差は多くの要因で説明されており、体が小さいことで臓器への負担が少ないことや、ホルモンの影響などが関係していると考えられています。マルチーズのような小型犬は、この点で大型犬よりも長く一緒にいられる可能性が高いと言えるでしょう。

ただし、小型犬だからといって安心しきれるわけではありません。マルチーズには小型犬ならではの注意点があります。関節のトラブル、気管の弱さ、歯周病、目や耳のケアなど、体が小さいからこそ気をつけたい病気やケガがあるのです。これらの病気は、早期発見と日々の予防ケアで、発症を遅らせたり症状を軽くしたりできることが多くあります。

寿命の数字にとらわれすぎず、「今日一日を大切に過ごす」こと。

そして、「小さな変化に気づいてあげる」こと。

この二つを心がけることが、愛犬との時間をより豊かに、より長く楽しむポイントとなることでしょう。

マルチーズの寿命と年齢別のお世話ポイント

マルチーズとの暮らしは、子犬期、成犬期、シニア期と、年齢によって必要なケアが少しずつ変わっていきます。それぞれの時期に合ったお世話を知っておくことで、愛犬の健康を無理なく守ることができます。ここでは、各ライフステージごとのポイントを、食事、運動、メンタル刺激、健康チェックの4つの観点から見ていきましょう。

一般的には、1歳頃までが子犬期、1歳から7〜8歳頃までが成犬期、7〜8歳以降がシニア期とされることが多いですが、個体差があります。それぞれの時期には特有の体の変化や必要なケアがあり、前の時期とまったく同じお世話を続けるのではなく、少しずつ調整していくことが大切です。

ライフステージ食事のポイント運動のポイントメンタル刺激健康チェック
子犬期(0〜1歳)成長に必要な高栄養フードを1日3〜4回に分けて与える短時間の遊びと社会化、激しい運動は控える人や音に慣れる社会化、新しい経験を少しずつ3〜4週ごとに健康チェックとワクチン接種
成犬期(1〜7歳頃)適正体重を保つバランス食を1日2回1日20〜30分程度の散歩が目安知育玩具や新しい散歩コースで刺激を年1回の健康診断
シニア期(7〜8歳〜)消化しやすく低カロリーなシニア用フード無理のないペースで短めの散歩、関節に配慮無理のない範囲で好きな遊びを続ける半年に1回の健康診断

子犬期は、体と心がぐんぐん成長する大切な時期です。栄養たっぷりのフードで体を作り、さまざまな人や音、環境に触れて社会性を育てます。ただし、骨や関節がまだ未熟なので、長時間の散歩や高い場所からのジャンプは控えましょう。

成犬期は、心身ともに最も安定している時期です。適正体重を保つことを意識しながら、毎日の散歩と遊びで適度な運動を続けます。この時期の過ごし方が、シニア期の健康にも大きく影響するため、良い習慣を身につけておくことが大切です。

シニア期に入ると、少しずつ体力が落ち、代謝も変わってきます。食事は消化しやすいものに切り替え、運動も愛犬のペースに合わせて無理なく。また、病気の早期発見のために、健康診断の頻度を年1回から半年に1回に増やすと安心です。

年齢別のケアは、「今日から一つやってみる」という気持ちで始めてみましょう。いきなり全部を完璧にする必要はありません。愛犬の様子を見ながら、少しずつ取り入れていくことで、無理なく続けられるお世話の習慣が育っていきます。

マルチーズのかかりやすい病気6選:症状のサインと日常でできること

愛犬の体調に少しでも変化を感じたとき、「これは病気のサインなのかな」「様子を見ていても大丈夫だろうか」と不安になることは、誰にでもあります。マルチーズには、小型犬ならではのかかりやすい病気がいくつかあり、それぞれに特徴的なサインがあります。早めに気づいて、適切なタイミングで受診することで、症状を軽くしたり、進行を遅らせたりできることも多いのです。

ここでは、マルチーズが特に気をつけたい代表的な6つの病気を、同じ流れでご紹介していきます。それぞれの病気について、「どんな症状が出るのか」「日常生活で見られるサイン」「治療方法と治療後の生活」「毎日のケアで気をつけたいこと」という4つの視点から、わかりやすくお伝えします。

病気の話は少し重く感じるかもしれませんが、知識を持っておくことは不安を減らすことにつながります。「もしかして」と思ったときに、落ち着いて対応できるように。そして、日々のちょっとした変化に気づいてあげられるように。この章が、愛犬の健康を守るための、やさしい道しるべになればと願っています。

次のセクションからは、膝蓋骨脱臼、気管虚脱、流涙症、外耳炎、白内障、歯周病という6つの病気を、一つひとつていねいに見ていきます。どの病気も、「完璧に防がなければ」と気負う必要はありません。日々の暮らしの中で、無理なくできることから始めていきましょう。そして、少しでも気になることがあれば、遠慮なく獣医師に相談してください。早めの相談が、愛犬との穏やかな時間を守ることにつながります。

マルチーズが気をつけたい病気① 膝蓋骨脱臼(パテラ)

マルチーズをはじめとする小型犬に多く見られる病気の一つが、膝蓋骨脱臼です。「パテラ」とも呼ばれるこの病気は、膝のお皿の骨が正常な位置からずれてしまうもので、軽度であれば痛みもほとんどなく、気づかないまま過ごしていることもあります。

項目説明
病気の特徴膝のお皿の骨が正常な位置からずれる。
重症度グレード1〜4の4段階に分類。
主な原因先天的な骨格の問題、高所からの飛び降り、滑りやすい床。
発見のポイント後ろ足を上げて歩く、階段を嫌がるなどの変化。

この病気は、先天的な骨格の問題で起こることもあれば、日常の負担が積み重なって起こることもあります。完全に防ぐことは難しくても、毎日の暮らしの中で関節への負担を減らす工夫をすることで、発症を遅らせたり、症状を軽くしたりすることは十分にできます。次のセクションからは、具体的な症状やサイン、治療方法、毎日のケアのポイントを見ていきましょう。

膝蓋骨脱臼(パテラ)の症状

膝蓋骨脱臼の症状は、グレード1から4まで段階があり、軽いうちはほとんど気づかないこともあれば、重度になると歩くことが難しくなることもあります。

グレード症状の特徴
グレード1ほとんど症状なし。まれに脱臼時に「キャン」と鳴いて後ろ足を挙げる。
グレード2後ろ足を曲げた時に頻繁に脱臼。脱臼時は後ろ足が着けない。
グレード3常に脱臼状態。後ろ足を曲げ、腰を落とした状態で歩く。
グレード4常に脱臼状態で元に戻せない。うずくまるように歩く。

グレード1の軽度では、ときどき片足をピョコンと上げたり、スキップするような歩き方をしたりします。グレード2になると脱臼の頻度が増え、足を気にして舐めることも。グレード3や4の重度では、後ろ足を曲げたまま腰を落として歩き、散歩を嫌がるようになります。早めに動物病院で相談しましょう。

膝蓋骨脱臼(パテラ)のサイン

日常生活の中で、膝蓋骨脱臼のサインに気づくことができれば、早めの対応につながります。愛犬のちょっとした変化を見逃さないことが大切です。

サイン具体的な様子
スキップするような歩き方数歩ケンケンして、また普通に歩く
片足を浮かせて歩く後ろ足の片方を地面につけずに進む
階段の上り下りを嫌がる以前は平気だったのに躊躇するようになる
足を気にする仕草後ろ足を舐めたり、触られるのを嫌がる
急に座り込む歩いている途中で突然座る

特に注意したいのは、散歩中や遊んでいる最中の変化です。楽しそうに走っていたのに、急に片足を上げて立ち止まったり、数歩ケンケンしてまた走り出したりする様子が見られたら、膝蓋骨脱臼の可能性があります。動画に撮っておくと、動物病院で獣医師に見せる際に役立ちます。

膝蓋骨脱臼(パテラ)の治療方法と治療後の生活

膝蓋骨脱臼の治療は、軽症の場合は内科的治療、重症の場合は手術を検討します。どちらの場合も、治療後のていねいなケアが回復の鍵です。

治療方法内容と対象
内科的治療(保存療法)鎮痛剤・サプリメント投与、運動制限、減量。軽症が対象
外科的治療(手術)滑車造溝術や脛骨粗面転位術など。頻繁な歩行異常や痛みがある場合
術後2週間絶対安静期間。ケージレストが基本
術後2週間〜1ヶ月運動制限期。抜糸後に短距離の散歩から開始
術後1〜3ヶ月リハビリ期。徐々に散歩距離を延ばす
術後3ヶ月以降骨が癒合すれば通常の生活に復帰可能

軽症の場合は、鎮痛剤やサプリメントで痛みを和らげながら、運動制限や体重管理で様子を見ます。手術を行った場合は、完全回復まで3〜6ヶ月程度かかりますが、段階的にリハビリを進めることで、無理なく日常生活に戻ることができます。焦らず、獣医師の指示に従ってゆっくり回復を見守りましょう。

膝蓋骨脱臼(パテラ)・毎日の生活で気をつけたいこと

膝蓋骨脱臼を予防したり、症状を悪化させないためには、日々の生活環境を整えることが大切です。無理なくできることから始めていきましょう。

ケアのポイント具体的な方法
体重管理を徹底適正体重を保つ。肥満は膝関節への負担を増大させる
床に滑り止めを敷くフローリングにマットやカーペットを敷く
高所からの飛び降りを防ぐソファやベッドにステップを設置する
爪切りと足裏の毛のカット滑り防止のため定期的に手入れする
激しい運動を避ける急な方向転換や膝に負担がかかる運動を控える

特に大切なのは体重管理です。マルチーズのような小型犬は、わずか数百グラムの増加でも関節への負担が大きくなります。また、フローリングは滑りやすく膝に負担がかかるため、愛犬がよく過ごす場所にはマットを敷いてあげましょう。ソファやベッドの前にステップを置くことで、高い場所からの飛び降りによる衝撃も和らげることができます。

マルチーズが気をつけたい病気② 気管虚脱

マルチーズに多く見られる呼吸器の病気が、気管虚脱です。気管を支える軟骨が弱くなり、気管がつぶれてしまうことで、呼吸がしづらくなります。「ガーガー」「ケッケッ」といった独特の咳が特徴で、興奮したときや首輪を引っ張ったときに症状が出やすくなります。

項目説明
病気の特徴気管を支える軟骨が弱くなり、気管がつぶれる
重症度グレード1〜4の4段階に分類
主な原因遺伝的要因、肥満、老化、首輪による圧迫
発見のポイント乾いた咳、ガーガーという呼吸音、興奮時の呼吸困難

気管虚脱は完治が難しく、徐々に進行する病気のため、「悪化させないための管理」が何より大切です。体重コントロールや首輪からハーネスへの切り替え、興奮を避ける環境づくりなど、日々の小さな配慮の積み重ねが、愛犬の呼吸を楽にしてあげることにつながります。

気管虚脱の症状

気管虚脱の最も特徴的な症状は、独特の咳と呼吸音です。グレードが上がるにつれて症状も重くなり、呼吸困難に陥ることもあります。

症状具体的な様子
乾いた咳「ケッケッ」「カーッ」と何かを吐き出すような咳
ガーガーという呼吸音アヒルのような「ガーガー」という音を立てて呼吸する
興奮時の悪化遊びや来客時に咳や呼吸困難が起こりやすい
運動後の呼吸困難散歩後に息が荒く、なかなか落ち着かない
チアノーゼ進行すると舌が紫色になる(重症のサイン)

軽度のうちは、興奮したときや首輪を引っ張ったときにだけ咳が出る程度ですが、進行すると安静時でも呼吸が苦しくなります。重度になると呼吸停止を起こすこともあるため、舌の色が紫になったり、ぐったりしたりする様子が見られたら、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。

気管虚脱のサイン

気管虚脱は、日常のちょっとした場面で症状が現れます。いつ、どんなときに咳が出るかを観察することで、早めに気づくことができます。

サイン具体的な様子
「カーッ」と吐くような仕草何かを吐き出そうとするように咳き込む
散歩中の首輪で悪化リードを引っ張ると咳が出る、呼吸が苦しくなる
興奮時の呼吸困難来客時や遊びの最中にガーガーと音を立てる
暑い日の悪化高温多湿な環境で咳や呼吸困難が増える
元気・食欲の低下以前より動きたがらない、食事の量が減る

特に注意したいのは、散歩中の様子です。首輪をつけてリードを引っ張ったときに咳が出る場合は、気管に負担がかかっている可能性が高いです。また、夏の暑い日や梅雨時など、高温多湿な環境では症状が悪化しやすくなります。咳の回数や時間帯をメモしておくと、受診時に獣医師に状況を伝えやすくなります。

気管虚脱の治療方法と治療後の生活

気管虚脱の治療は、症状の程度に応じて内科的治療か外科的治療を選択します。完治は難しいため、悪化させないための継続的な管理が重要です。

治療方法内容と対象
内科的治療気管支拡張薬、鎮咳薬、抗炎症薬、去痰薬の投与。軽度〜中等度が対象
酸素吸入呼吸困難が強い場合に必要に応じて実施
外科的治療気管外プロテーゼ設置術や気管内ステント留置術。重度が対象
治療後の管理薬の継続、体重管理、環境整備で悪化を防ぐ

軽度から中等度の場合は、薬で咳を抑えたり、気管を広げたりしながら症状をコントロールします。重度の場合は、専門的な手術が必要になることもありますが、すべての子に手術が適応できるわけではありません。気管虚脱は徐々に進行する病気のため、治療後も定期的な通院と、体重管理や環境づくりなど日々のケアを続けることが大切です。

気管虚脱・毎日の生活で気をつけたいこと

気管虚脱の発症を予防し、症状を悪化させないためには、日常生活での小さな配慮が大きな違いを生みます。早めの対策で愛犬の呼吸を楽にしてあげましょう。

ケアのポイント具体的な方法
首輪からハーネスへ変更子犬のうちからハーネスに慣れ、気管への圧迫を予防
体重管理を徹底適正体重を保ち、気管への負担を軽減する
興奮やストレスを避ける落ち着いた環境を保ち、過度な運動は控える
室温・湿度の管理高温多湿を避け、エアコンで快適な環境を保つ
喫煙環境を避ける煙は気道を刺激するため、愛犬の近くでは禁煙を

予防の第一歩は、子犬のうちから首輪ではなくハーネスを使うことです。気管への圧力を避けることで、発症リスクを下げることができます。また、肥満は気管虚脱の大きな悪化要因のため、日頃から適正体重を保つことが予防にもつながります。呼吸が苦しそうなときは無理をせず、すぐに受診してください。

マルチーズが気をつけたい病気③ 流涙症(涙やけ)

マルチーズの白い被毛だからこそ目立ちやすいのが、目の周りの茶色い変色、いわゆる「涙やけ」です。流涙症は、涙が過剰に分泌されたり、涙の排出がうまくできなかったりすることで、目の周りが常に涙で濡れた状態になる病気です。見た目の問題だけでなく、皮膚炎や悪臭の原因にもなります。

項目説明
病気の特徴涙の過剰分泌や排出不良で目の周りが常に濡れる
主な原因鼻涙管閉塞、涙嚢炎、逆さまつげ、アレルギー
涙やけの仕組み涙の成分により被毛が茶色や赤茶色に変色
発見のポイント目の周りが常に濡れている、被毛の変色、目やにの増加

原因は一つではなく、生まれつきの鼻涙管の狭さ、細菌感染、まつ毛やまぶたの問題、食物アレルギーなど、さまざまです。完全に治すことが難しい場合もありますが、毎日のケアと原因に応じた治療で、症状を軽くすることは十分にできます。

流涙症(涙やけ)の症状

流涙症の症状は、目の周りの涙の量や被毛の変色で気づくことができます。軽度のうちは見た目の問題ですが、放置すると皮膚トラブルにつながります。

症状具体的な様子
目の周りが常に涙で濡れている涙が止まらず、目頭から頬にかけて湿っている
被毛の茶色・赤茶色への変色目頭から目の下の毛が茶色や赤茶色に染まる(涙やけ)
黄色いドロッとした目やに細菌感染がある場合、粘り気のある黄色い目やにが出る
目を気にする仕草目をこすったり、しょぼしょぼさせたりする
皮膚の炎症や悪臭重症化すると皮膚が赤くなり、においが出ることも

初期は目の周りが少し濡れている程度ですが、涙の成分に含まれる物質が被毛を変色させ、やがて茶色い涙やけとして定着します。細菌感染を伴うと黄色い目やにが増え、皮膚が赤く腫れることもあります。かゆみが出ると、愛犬が目を前足でこすってさらに悪化させることもあるため、早めのケアが大切です。

流涙症(涙やけ)のサイン

流涙症のサインは、涙の量や被毛の変色だけでなく、愛犬の行動からも読み取ることができます。日々の観察で早めに気づいてあげましょう。

サイン具体的な様子
目をこする前足で目の周りをこすったり、床にこすりつけたりする
目をしょぼしょぼさせるまぶしそうに目を細めたり、まばたきが増える
片目だけ涙が多い左右で涙の量が違う、片方だけ涙やけが目立つ
季節による悪化花粉の時期や梅雨時に症状が強くなる
目の周りの被毛が固まる涙で毛が固まり、ゴワゴワした感触になる

特に注意したいのは、目を気にしてこする仕草です。かゆみや違和感があるサインで、放置すると目の周りの皮膚を傷つけてしまいます。また、片目だけ症状が強い場合は、逆さまつげや異物混入の可能性もあります。涙やけの進行具合を写真に撮って記録しておくと、原因を探る手がかりになります。

流涙症(涙やけ)の治療方法と治療後の生活

流涙症の治療は、原因によって異なります。構造的な問題から感染、アレルギーまで、それぞれに合った対応が必要です。

治療方法内容と対象
鼻涙管洗浄涙点から細い管を入れて詰まりを洗浄する
抗生剤投与細菌感染がある場合に点眼薬や内服薬を使用
外科手術逆さまつげの除去、眼瞼内反症の矯正、重度は人工管挿入
アレルギー対策食事変更、抗アレルギー薬の投与で症状を緩和
治療後の管理毎日の目の周りのケアと清潔維持

鼻涙管が詰まっている場合は洗浄で改善することがあり、細菌感染があれば点眼や内服で対応します。逆さまつげなど構造的な問題は手術が必要になることも。先天的な問題が原因の場合、完全に改善しないこともありますが、適切なケアで涙やけの程度を軽くすることはできます。治療後も目の周りを清潔に保つことが大切です。

流涙症(涙やけ)・毎日の生活で気をつけたいこと

流涙症の予防と悪化防止には、毎日のこまめなケアが欠かせません。目の周りを清潔に保ち、原因となる要素を減らしていきましょう。

ケアのポイント具体的な方法
目の周りを清潔に保つ1日1〜2回、柔らかいコットンで優しく涙を拭き取る
目の周りの毛を短くカット長い毛が涙を吸い込み雑菌の温床になるため定期的にカット
温湿布とマッサージ人肌程度の温タオルで目の周りを温め、鼻涙管の詰まりをほぐす
低アレルゲンフードへの切り替え食物アレルギーが疑われる場合は獣医師と相談してフード変更
水分摂取を促す老廃物の排出を促進し、涙の質を改善

予防の基本は、目の周りを常に清潔に保つことです。柔らかいコットンで優しく涙を拭き取り、強くこすらないように注意しましょう。目の周りの毛が長いと涙を吸い込んで雑菌が繁殖しやすくなるため、短くカットしておくと効果的です。また、食物アレルギーが原因の場合もあるため、フードの見直しも検討してみましょう。

マルチーズが気をつけたい病気④ 外耳炎

マルチーズのような垂れ耳の犬種に多く見られるのが外耳炎です。耳の中に炎症が起き、かゆみや悪臭、耳垢の増加などの症状が現れます。頻繁に頭を振ったり、耳をかいたりする様子が見られたら、外耳炎のサインかもしれません。

項目説明
病気の特徴外耳道に炎症が起こり、かゆみや痛みが出る
主な原因アレルギー、細菌・酵母(マラセチア)感染、耳ダニ、湿気
再発しやすい理由垂れ耳で通気性が悪く、湿気がこもりやすい
発見のポイント頻繁に耳を掻く、頭を振る、耳垢の増加、悪臭

外耳炎は一度治っても再発しやすい病気です。アレルギー体質の子は特に繰り返しやすく、長期的な管理が必要になることもあります。ただし、適切な治療と日々のケアで症状をコントロールすることは十分にできます。耳掃除のやりすぎは逆効果になるため、適度な頻度を守ることも大切です。

外耳炎の症状

外耳炎の症状は、耳の中の炎症によって現れます。放置すると慢性化し、治りにくくなるため、早めの対応が大切です。

症状具体的な様子
頻繁に耳を掻く、頭を振る後ろ足で耳をかいたり、ブルブルと頭を振ったりする
耳垢の増加黒っぽい、黄色い、ベタベタした耳垢が増える
耳から悪臭がする発酵したような、酸っぱいようなにおいがする
耳の中の赤み、腫れ耳の内側が赤く腫れ、ただれることも
耳を触られるのを嫌がる痛みがあるため、耳に触ると逃げたり鳴いたりする

外耳炎の症状は、原因によって耳垢の色や状態が変わります。細菌感染では黄色くベタベタした耳垢、マラセチア(酵母)感染では茶色や黒っぽい耳垢が特徴的です。においも重要なサインで、健康な耳にはほとんどにおいがありませんが、外耳炎になると独特の悪臭が出てきます。耳垢の色や量を受診時に伝えられるようにメモしておきましょう。

外耳炎のサイン

外耳炎のサインは、愛犬の行動の変化から読み取ることができます。いつもと違う仕草に気づいたら、早めに耳の状態を確認しましょう。

サイン具体的な様子
頭を頻繁に振るブルブルと頭を振る回数が増える、散歩中も振る
片側に頭を傾ける首を傾けたまま歩く、片方の耳が気になる様子
耳を触られるのを嫌がる以前は平気だったのに、耳を触ろうとすると逃げる
床や壁に耳をこすりつけるかゆみを和らげようと、耳を何かにこすりつける
散歩後や梅雨時の悪化水に濡れた後や湿気の多い時期に症状が出やすい

特に注意したいのは、頭を振る回数の増加です。1日に何度もブルブルと頭を振るようになったら、耳に違和感がある可能性が高いです。また、片方だけ症状が出ることも多く、頭を傾けて歩く仕草が見られることも。シャンプー後や雨の日の散歩後など、耳が濡れたタイミングで症状が悪化しやすいため、その時期の様子も合わせて観察しておきましょう。

外耳炎の治療方法と治療後の生活

外耳炎の治療は、原因に応じた洗浄と投薬が基本です。アレルギー体質の場合は、長期的な管理が必要になることもあります。

治療方法内容と対象
外耳道の洗浄洗浄液で耳垢や分泌物を除去する
点耳薬抗菌薬、抗真菌薬、抗炎症薬を含む点耳薬を使用
内服薬・注射重度の場合は全身性の抗菌薬や抗炎症薬を投与
アレルギー治療原因がアレルギーの場合、除去食試験や環境改善を実施
治療期間軽度は1〜2週間、慢性化している場合は数ヶ月かかることも

治療は、まず耳の中を洗浄して汚れを取り除き、その後に点耳薬を使います。細菌感染やマラセチア感染など、原因に合わせた薬を使い分けます。アレルギーが根本原因の場合は、食事の見直しや環境整備も並行して行います。外耳炎は再発しやすい病気のため、治療後も定期的な耳のチェックと適度なケアを続けることが大切です。

外耳炎・毎日の生活で気をつけたいこと

外耳炎の予防と再発防止には、適度な耳のケアと環境管理が大切です。やりすぎず、でも放置せず、ちょうど良いバランスを心がけましょう。

ケアのポイント具体的な方法
定期的な耳掃除月に1〜2回程度が目安。やりすぎは逆効果
耳を湿気から守るシャンプー後や雨の日の散歩後はしっかり乾かす
耳の通気性を保つ耳の中の毛が伸びすぎないよう定期的にカット
アレルギー管理アレルギー体質の場合、食事や環境を見直す
早期受診症状が見られたらすぐに動物病院へ。悪化前の対応が鍵

予防の基本は、耳の中を適度に清潔に保つことです。ただし、耳掃除のやりすぎは耳道を傷つけ、かえって炎症を起こす原因になります。月に1〜2回程度を目安に、優しくケアしましょう。シャンプー後や水遊びの後は、耳の中に水が残らないようしっかり拭き取ることも大切です。アレルギー体質の子は、根本的な体質管理も並行して行うことで再発を減らせます。

マルチーズが気をつけたい病気⑤ 白内障

マルチーズがシニア期を迎える頃に気をつけたいのが白内障です。目の水晶体が白く濁り、進行すると視力が低下していく病気で、最終的には失明に至ることもあります。「目が白っぽくなってきた」「物にぶつかるようになった」といった変化に気づいたら、早めに受診しましょう。

項目説明
病気の特徴目の水晶体が白く濁り、視力が低下する
進行段階初発・未熟・成熟・過熟の4ステージに分類
主な原因加齢、遺伝、糖尿病などの病気
発見のポイント目の白濁、物にぶつかる、夜間の見えにくさ

白内障はゆっくり進む病気のため、初期には気づきにくいことも多いです。ただし、早めに発見して点眼治療を始めることで進行を遅らせることができます。根本的に視力を回復させるには手術が必要ですが、手術によって再び見えるようになる可能性もあります。視力が落ちても、環境を整えることで快適に暮らすことはできます。

白内障のサイン

白内障の初期は気づきにくいですが、愛犬の行動の変化から視力低下のサインを読み取ることができます。日常の小さな変化を見逃さないようにしましょう。

サイン具体的な様子
物にぶつかる家具や壁にぶつかる、段差につまずくことが増える
夜間や薄暗い場所で見えにくい夕方以降の散歩を嫌がる、暗い部屋で動きが鈍くなる
家具配置の変化に戸惑う模様替え後に迷ったり、慎重に歩いたりする
目をシバシバする、目を細める痛みや違和感があると、まばたきが増える
白目の充血ぶどう膜炎を併発している場合、目が赤くなる

最もわかりやすいサインは、慣れた家の中で物にぶつかるようになることです。また、白内障は夜盲症を伴うことが多く、暗い場所での見えにくさが初期から現れます。いつもと同じ散歩コースでも、夕暮れ時に不安そうに歩くようになったら要注意です。行動の変化を動画に撮っておくと、受診時に獣医師に状況を伝えやすくなります。

白内障の治療方法と治療後の生活

白内障の治療は、進行を遅らせる内科的治療と、視力を回復させる外科的治療の2つがあります。どちらを選ぶかは、進行度や愛犬の年齢などを考慮して決めます。

治療方法内容と対象
点眼薬ピレノキシン点眼液で進行を遅らせる。完治はしない
サプリメント抗酸化作用のあるアスタキサンチンなどを使用
手術(水晶体除去)白濁した水晶体を除去し、人工レンズを挿入。視力回復の可能性
術後管理点眼・内服継続、エリザベスカラー装着、定期検査
完全回復の目安術後3ヶ月以降、骨が癒合すれば通常の生活へ

内科的治療は点眼薬を毎日使い続けることで進行を遅らせますが、完治や視力の回復はできません。視力を取り戻すには手術が唯一の方法で、濁った水晶体を取り除き人工レンズを入れます。術後は1ヶ月程度エリザベスカラーをつけ、点眼や内服を継続しながら、定期的な検査で経過を見守ります。手術には費用もかかるため、獣医師とよく相談して決めましょう。

白内障・毎日の生活で気をつけたいこと

白内障の予防と、視力低下後の快適な暮らしのために、日常生活での配慮が大切です。早期発見と環境づくりの両方を心がけましょう。

ケアのポイント具体的な方法
定期的な目の検査シニア期は半年に1回の健診で早期発見を。進行を遅らせる鍵
抗酸化栄養素の摂取ビタミンE、C、ルテインなどを含む食事で目の健康をサポート
家具の配置を変えない視力低下後も記憶で動けるよう、レイアウトを固定
障害物を減らす床に物を置かない、動線をシンプルにする
点眼薬の継続獣医師に処方された点眼薬を指示通りに使用する

白内障は完全に予防することは難しいですが、抗酸化作用のある栄養素を取り入れることで、進行を遅らせる助けになると考えられています。また、シニア期に入ったら定期的な目の検査を受け、早期発見を心がけましょう。視力が低下してきたら、家具の配置を変えずに愛犬が安心して歩ける環境を保ちます。急な変化は不安を招くため、焦らずゆっくり見守ってあげてください。

マルチーズが気をつけたい病気⑥ 歯周病

マルチーズが最もかかりやすい病気の一つが歯周病です。歯垢中の細菌による感染症で、軽度の「歯肉炎」から重度の「歯周炎」まで進行します。放置すると歯が抜けるだけでなく、顎の骨が折れたり、細菌が全身に回って心臓や腎臓に影響を及ぼしたりすることもあります。

項目説明
病気の特徴歯垢中の細菌が歯茎や歯を支える組織に炎症を起こす
進行段階歯肉炎→軽度歯周炎→中等度歯周炎→重度歯周炎
主な原因歯垢の蓄積、歯磨き不足、口腔ケアの不足
発見のポイント口臭、歯茎の赤み・出血、歯石の付着

歯周病は3歳以上の犬の約8割が罹患していると言われるほど一般的な病気です。小型犬は歯が密集しているため、特に歯垢がたまりやすく、進行も早い傾向があります。ただし、毎日の歯磨きと定期的な歯科検診で、十分に予防できる病気でもあります。

歯周病の症状

歯周病の症状は段階的に進行します。初期の歯肉炎なら改善の可能性も高いため、早めに気づいてあげることが大切です。

症状具体的な様子
歯茎の赤み、腫れ健康な歯茎はピンク色だが、赤く腫れて炎症を起こす
歯茎からの出血歯磨きや硬いものを噛んだときに血が出る
口臭が強い生臭い、腐ったようなにおいがする
歯石の付着歯の表面に茶色や黄色の硬い塊がつく
歯のぐらつき進行すると歯がグラグラし、最終的には抜け落ちる
よだれの増加口の痛みからよだれが増え、口元が汚れやすくなる

初期の歯肉炎では、歯茎が赤く腫れて出血しやすくなります。この段階なら歯磨きと洗浄で改善できることも多いです。歯周炎に進むと歯石がこびりつき、口臭も強くなります。重度になると歯がぐらつき、食事を食べるスピードが落ちたり、片側だけで噛んだりする様子が見られます。顔の腫れや膿が出る場合は、かなり進行しているサインです。

歯周病のサイン

歯周病のサインは、口の中だけでなく、食事の様子や行動の変化からも読み取ることができます。日々の観察で早めに気づいてあげましょう。

サイン具体的な様子
口臭が強くなる顔を近づけたときに生臭い、腐ったようなにおいがする
片側で噛む痛みがある側を避けて、片方だけで食べるようになる
硬いおやつを嫌がる以前は好きだったガムや硬いおやつを食べなくなる
よだれが増える口元が常に濡れている、よだれを垂らすようになる
口元を触られるのを嫌がる口の周りや顔を触ろうとすると逃げる、鳴く
食事のスピードが落ちる食べるのに時間がかかる、途中で諦めることも

最も気づきやすいサインは口臭の変化です。健康な犬の口には強いにおいはありませんが、歯周病が進むと独特の悪臭が出てきます。また、食事中の様子も重要です。片側だけで噛んでいたり、硬いものを避けたりする様子が見られたら、痛みがある可能性があります。口元を触られるのを嫌がるのも、痛みや違和感のサインです。

歯周病の治療方法と治療後の生活

歯周病の治療は、全身麻酔下での専門的な処置が基本です。治療後は、再発を防ぐための日々のケアが何より大切です。

治療方法内容と対象
歯石除去(スケーリング)全身麻酔下で歯石を除去し、歯面を研磨する
抜歯重度の歯周病で保存不可能な歯は抜歯する
抗菌薬投与細菌感染に対して内服薬を処方
痛み止め必要に応じて鎮痛薬を処方
治療後のホームケア毎日の歯磨きで再発を防ぐ。一度で終わりではない

歯周病の治療は、全身麻酔をかけて歯石を徹底的に除去し、歯の表面を滑らかに研磨します。保存できない歯は抜歯しますが、抜歯後も犬は問題なく食事ができます。治療後は細菌感染を抑えるための抗菌薬や、痛み止めが処方されることもあります。大切なのは治療後のケアで、毎日の歯磨きを習慣にすることで再発を防ぎます。

歯周病・毎日の生活で気をつけたいこと

歯周病は予防できる病気です。子犬のうちから歯磨きを習慣にし、定期的な歯科検診を受けることで、愛犬の歯を守ることができます。

ケアのポイント具体的な方法
毎日の歯磨き理想は1日1回、最低でも2〜3日に1回。子犬から慣らす
正しい歯磨き方法歯と歯茎の境目を斜め45度で磨く。奥歯も忘れずに
歯磨きガムやおもちゃの活用物理的に歯垢を除去。歯磨きの補助として使用
液体歯磨きの使用歯磨きが苦手な場合、飲み水に混ぜるタイプも有効
定期的な歯科検診年に1〜2回は獣医師にチェックしてもらう
ドライフードの選択カリカリとした食感が歯垢の蓄積を防ぐ助けになる

予防の基本は、毎日の歯磨きです。最初はガーゼで歯を拭くことから始め、少しずつ歯ブラシに慣らしていきましょう。嫌がる場合は短時間でも構いません。成功体験を積み重ねることが大切です。歯磨きガムは補助的に使い、液体歯磨きも選択肢の一つです。また、年に1〜2回は動物病院で歯のチェックを受け、必要なら専門的なクリーニングを検討しましょう。

マルチーズの寿命と病気を知って、長く一緒に暮らすための次の一歩

ここまで、マルチーズの寿命や年齢ごとのお世話のポイント、そして気をつけたい6つの病気について見てきました。膝蓋骨脱臼、気管虚脱、流涙症、外耳炎、白内障、歯周病。それぞれに特徴的なサインや予防方法がありましたが、共通して言えるのは、「早めに気づいて、無理なくケアを続けること」が何より大切だということです。

病気の話を読むと、少し不安になったかもしれません。でも、これらの病気の多くは、日々の小さな配慮で予防したり、症状を軽くしたりすることができます。体重管理、滑りにくい床づくり、目や耳や口のケア、そして定期的な健康診断。どれも特別なことではなく、愛犬との暮らしの中で少しずつ取り入れられることばかりです。

大切なのは、完璧を目指すことではありません。「今日から一つやってみよう」という気持ちで、できることから始めてみてください。愛犬の歩き方、呼吸の音、目の輝き、口のにおい。毎日の小さな変化に気づいてあげることが、長く健康に過ごすための第一歩です。

そして、もし「これは病気のサインかもしれない」と感じたら、迷わず動物病院に相談してください。早めの受診が、愛犬を守ることにつながります。不安なときは一人で抱え込まず、専門家の力を借りることも、飼い主さんができる大切なケアの一つです。

ペットは「商品」ではなく、かけがえのない「命」であり、大切な「家族」です。私たちペッツメイトは、ペットを通じて人と人とをつなぎ、家族と家族をむすぶ「居場所」でありたいと願っています。ペットのことで不安がある方、どんな小さなことでも構いません。どうぞ気軽にご相談ください。

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あなたと愛犬マルチーズが長く一緒に、同じ時を歩めますように。そして、楽しい時間がずっと続けられますように。

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